きょう)” の例文
しかし、上使から高時の台命をきいてみると、やはりきょうは凶であったが、自分の上に降りかかって来た凶ではなかった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは犬死いぬじににきまっていますが見す見す部下が弱ってゆくのを眺めていることは、どんなにか苦しいことでしょう。戦いの運はもうきょうのうちの大凶だいきょうです。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きょうの札をめくったも同然で、たちまちそこに何人かの血を見、波瀾万丈はらんばんじょう、恐しい渦を巻きおこさずにはおかない。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ヂュリ いきれてはれぬとやるほどなら、いきれてゐぬはずぢゃ。なんのかのと言譯いひわけしてゐやるのが肝腎かんじん一言ひとことよりながいわいの。これ、きつか、きょうか? はやや。
去年きょねん梅見時分うめみじぶんから伊勢新いせしん隠居いんきょ骨折ほねおりで、させてもらった笠森稲荷かさもりいなり水茶屋みずぢゃやたちま江戸中えどじゅう評判ひょうばんとなっては、きょう大吉だいきちかえった有難ありがたさを、なみだともよろこぶよりほかになく
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
お豊は大吉だいきちという文字を見て安心はしたものの、大吉はかえってきょうに返りやすい事を思い出して、またもや自分からさまざまな恐怖を造出つくりだしつつ、非常に疲れてうちへ帰った。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
えかえる満身の血が、眸からも、耳の穴からも、流れ出るかと思った。きっと、上野介の背へ向けた内匠頭の眉に、深く、針のような線がきょうを描いた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょう乾雲と坤竜が所をことにすると、きょうの札をめくったも同然で、たちまちそこに何人かの血を見、波瀾万丈、恐ろしい渦を巻き起こさずにはおかないというのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それさへうてたもったら、詳細事くはしいことあとでもよい。はや安心あんしんさしてたも、きつか、きょうか?
神鬮みくじは、きょうと出た。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)