こども)” の例文
旧字:
こどもは厚い胎衣えなに包まれて生れたが、ちょうど大きな卵のようであった。破ってみると男の子であった。魚は喜んで漢産かんさんという名をつけた。
竹青 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
雀だってチッチッチッチッて、母様おっかさんと、父様おとっさんと、こども朋達ともだちみんなで、お談話はなしをしてるじゃあありませんか。
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されど、われは徒爾に哭して慟する者にあらず、おんなこどものすなる仏いじりに日を泣暮なきくらす者にあらず。
父の墓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それから二箇月して蓮香は一人のこどもを生んだが、産後にわかに病気になって、日に日に重くなって往った。蓮香は燕児の手を取って言った。
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
すゞめだつてチツチツチツチツて、母様おつかさん父様おとつさんと、こども朋達ともだちみんなで、お談話はなしをしてるじやあありませんか。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さっき天符がさがって、—氏の孝行が天地に通じて、誠を鬼神にいたしたから、貴人になるこどもを二人生まして、皆君の禄をんで、家の名をあげ
富貴発跡司志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私が何かくさくさすると、可哀相にこどもにあたって、叱咤ひッちかッて、押入へ入れておく。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
滄客の家は頗るゆたかであった。年は四十になったところで二人あるこどものうち、長男の吉というのは、十七歳でゆうの名士となり、次男もまたりこうであった。
劉海石 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こどものせいで紛れていたがね、去年(じふてりや)で亡くなってからは、私ゃもう死んでしまいたくッてたまらなかったけれど、旦那が馬鹿におとなしくッて、かッと喧嘩することがないものだから
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その孫の家には一羽の鸚鵡おうむを飼ってあったが、急に死んでしまったので、こどもが持ってきて孫の榻の傍でいじっていた。
阿宝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こどもよりも家を大切がる残酷な親だと云うのは、よ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時階下したから嬰児あかんぼの泣き声が聞えて来た。それは賢次のこどもであった。賢次はとうに妻帯して二人の児があった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
他にこどもはないし、帰ってあげたら、かえって悦んでくださるだろうと思いますが、あなたはどう思います
金鳳釵記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで富豪はかねを出して胡を自分の家へ置いた。胡はこどもを教育するにあたって心切しんせつで勤勉であった。それに学問が博くてしたっぱな人間でないということが解った。
胡氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
女は生れて二月ぐらいになるこどもを抱いてきた。それは女から生れたものであった。彭は喜んだ。
荷花公主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こどもができ、孫ができて、その児や孫達に、あんたが私にしてくれたように、あんたに孝行をさしたい、もし、天がこのことを見ていらっしゃるなら、きっとそうしてくだされる
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「そりゃ、兄貴はお人好しで、おいらこどものように可愛がってくれるが、他がいけないのだ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
みるみるうちに数人の人夫が財宝を庭に出しはじめた。金銀銭紙幣数百万、真珠瑪瑙めのうの類数百斛ひゃくこくまくすだれ、榻類これまた数千事。そしてこども襁褓おむつや女のくつなどは庭や階段にちらばって見えた。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「僕と胡先生とは、もう莫逆ばくぎゃくの友になっております、結婚なんかしなくてもいいでしょう、それにこどもは、もう許婚いいなずけになっておりますから、どうかあなたが僕に代って、胡先生に話してください」
胡氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
だから冬暖かい年があっても、寒さにふるえ、年が豊かでも飢に苦しんでおります、だから一人の知己もありません、家には無論蓄積がありませんから、妻やこどもまでが軽蔑します、郷党は郷党で
富貴発跡司志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
青年は男の手一つでこどもを育てなくてはならなかったが、それに没頭していては仕事ができない。青年は友人の勧めに従って後妻を迎えた。後妻は心がけの良い女で、己の腹を痛めない児を愛撫した。
前妻の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
祝には一人の男の子があったが、こどもの母親は柏舟節みさおを守ることができないで、半年の後に児を置き去りにして他へ嫁入した。嫁に往かれた祝の母は孫の世話をしていたが苦しいので朝夕あさばんに泣いていた。
水莽草 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「お岩と云う、れっきとした女房があり、それにこどもまであるから」
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「お婆さん、お前さんは、よくもうちのこどもを殺してくれたね」
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こどもがいちゃ、じゃまっけだから、あっちへやりましょうよ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「どうか一度こどもに逢ってやってくださいませ」
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こどもが小そうございますから」
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「これはあなたのこどもですよ」
虎媛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)