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僅少
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わずか
ふりがな文庫
“
僅少
(
わずか
)” の例文
「いいえ、御前様の方へは、宿まで送り届けたといっておいてくだされば、それで済んでしまいます。ほんの
僅少
(
わずか
)
なものですけれど」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
僅少
(
わずか
)
の
貯蓄
(
たくわえ
)
で夫妻が冷たくなろうとは思われる理由がない。老妓の推測は自分だけの心にしかわからなかったのであろう。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その面上にははや不快の雲は
名残
(
なごり
)
無く吹き
掃
(
はら
)
われて、その
眼
(
まなこ
)
は晴やかに
澄
(
す
)
んで見えた。この
僅少
(
わずか
)
の間に主人はその心の
傾
(
かたむ
)
きを一転したと見えた。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
倶不戴天
(
ぐふたいてん
)
の親の
仇
(
あだ
)
、たまさか見付けて討たんとせしに、その仇は取り逃がし、あまつさへその身は
僅少
(
わずか
)
の罪に縛められて邪見の
杖
(
しもと
)
を
受
(
うく
)
る悲しさ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
山上の落日は、
僅少
(
わずか
)
の人間に示す空中の美しさであろう、雲の山に帰る時、日の山に隠るる時、山上の世界は、無言の讃美を
夕
(
ゆうべ
)
の光線に集めて了った。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
▼ もっと見る
彼等の
或
(
ある
)
者は非常に長い髪を垂れていると伝えられるが、これは殆ど
禿頭
(
はげあたま
)
と云っても
可
(
い
)
い位で、脳天に
僅少
(
わずか
)
ばかりの灰色の毛がちょぼちょぼと生えているのみであった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
仏蘭西
(
フランス
)
の小説を読むと
零落
(
おちぶ
)
れた貴族の
家
(
いえ
)
に生れたものが、
僅少
(
わずか
)
の遺産に自分の身だけはどうやらこうやら日常の衣食には事欠かぬ代り、浮世の
楽
(
たのしみ
)
を
余所
(
よそ
)
に
人交
(
ひとまじわ
)
りもできず
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
前
(
ぜん
)
のは
背戸
(
せど
)
がずつと
展
(
ひら
)
けて、向うの谷で
劃
(
くぎ
)
られるが、其の
間
(
あいだ
)
、
僅少
(
わずか
)
ばかりでも
畠
(
はたけ
)
があつた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と新吉は
僅少
(
わずか
)
の金でも溜めて置いて呉れるのかと思いまして、手に取上げて見ると
迷子札
(
まいごふだ
)
。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ふと向うの方を見ると、人数は
僅少
(
わずか
)
だけれど行列が来るようだ。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
おれは、代々、
僅少
(
わずか
)
な
扶持
(
ふち
)
をもらって、生きている
為
(
ため
)
に、人間らしい根性をなくしてしまった、侍という
渡世
(
とせい
)
が、つくづく
厭
(
いや
)
になったんだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
豊島村の方より渡りて行く事
僅少
(
わずか
)
にして荒川堤に出づ。堤は即ち花の盛りの
眺望
(
ながめ
)
好き向島堤の続きにして、千住駅を
歴
(
へ
)
てこゝに至り、なほ遠く川上の北側に連なるものなり。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
僅少
(
わずか
)
に
畳
(
たたみ
)
の
縁
(
へり
)
ばかりの、日影を選んで
辿
(
たど
)
るのも、人は目を
睜
(
みは
)
つて、
鯨
(
くじら
)
に乗つて人魚が通ると見たであらう。……
素足
(
すあし
)
の白いのが、すら/\と
黒繻子
(
くろじゅす
)
の上を
辷
(
すべ
)
れば、
溝
(
どぶ
)
の
流
(
ながれ
)
も
清水
(
しみず
)
の
音信
(
おとずれ
)
。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「宿で、道案内の事を心配して居ましたよ。其は
可
(
い
)
いの、
貴下
(
あなた
)
、頼まないでお置きなさいまし。途中の分らない
処
(
ところ
)
は
僅少
(
わずか
)
の
間
(
あいだ
)
ですから、私がお見立て申すわ。
逗留
(
とうりゅう
)
してよく知つて居ます。」
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“僅少”の意味
《名詞》
僅少(きんしょう)
極めて僅かであるさま。ほんの少し。
(出典:Wiktionary)
僅
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
少
常用漢字
小2
部首:⼩
4画
“僅”で始まる語句
僅
僅々
僅有
僅僅
僅計
僅三時
僅有絶無