“偽(いつは)” の例文
旧字:僞
Düntzer 等の理想主義者たちは勿論この事実を信じてゐない。しかしゲエテ自身もネエケの言葉の偽(いつは)りでないことを認めてゐる。
今夜も、泊れない事はないが、もう、君を偽(いつは)つては悪い気がして、僕はさつきから早く帰るべきだと、自分に云ひきかしてゐた。信州へ行くのは本当なンだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
『東京にて、猪子蓮太郎先生、瀬川丑松より』と認(したゝ)め終つた時は、深く/\良心(こゝろ)を偽(いつは)るやうな気がした。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大久保(おほくぼ)から見(み)せられた彼女(かのぢよ)の手紙(てがみ)によると、彼女(かのぢよ)がしをらしくも彼(かれ)の愛(あい)に縋(すが)らうとしてゐる気持(きもち)が、偽(いつは)りなく露出(ろしゆつ)してゐたが、今(いま)彼(かれ)につれられて目(め)の前(まへ)に現(あら)はれた彼女(かのぢよ)を見(み)ると
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
明(あす)の夜よく一二七偽(いつは)りて詣(まう)でなんとて出でぬ。其の夜も一二八寝(い)ねがてに明けゆく。
さうして、他を偽(いつは)らざる点に於てそれを尤も道徳的なものと心得てゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
偽(いつは)りのなき世(よ)なりせばいかばかり人(ひと)の言(こと)の葉(は)はうれしからまし
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
さくらばな咲く春なれや偽(いつは)りもまことも来よやともに眺(なが)めな
桜 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
な偽(いつは)りそ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
メルキユルを学ぶことは困難にしろ、一版を何部と定(さだ)めた上、版数も偽(いつは)らずに広告することは当然日本の出版業組合も厲行(れいかう)して然るべき企てであらう。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今にもかの女召して、おのれが罪なき事を覚らせ給へ。助いよよ怒(いか)りて、我が下司(したづかさ)に県の姓(かばね)を名のる者ある事なし。かく偽(いつは)るは刑(つみ)ますます大なり。豊雄、かく捕(とら)はれていつまで偽るべき。
七二御許(おもと)此の事をよくして渠(かれ)を恵み給へと、ねんごろに七三あつらへけるを、磯良いとも喜(うれ)しく、此の事安くおぼし給へとて、私(ひそか)におのが衣服調度を金に貿(か)へ、猶(なほ)香央(かさだ)の母が許(もと)へも偽(いつは)りて金を乞(こ)ひ