)” の例文
そのうち、寒い冬も過ぎ春になり、わたくしは小者一人をしてお山へあがり、お詣りをしたあとで阿闍利さまにおあいしたのでございます。
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
三六こしの国へ三七水丁くわんぢやう三八戒師かいしにむかへられ給ひて、百日あまりとどまり給ふが、くにより十二三歳なる童児わらはしてかへり給ひ、三九起臥おきふしたすけとせらる。
次男ラヴェンは健気けなげに見ゆる若者にてあるを、アーサー王のもよおしにかかる晴の仕合に参り合わせずば、騎士の身の口惜しかるべし。ただ君が栗毛のひづめのあとにし連れよ。翌日あす
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これだけの事実を握ると私は俄然がぜんとして一道の緊張味を感じない訳に行かなかった。そうして時を移さずこのむねして新任総監高星子爵に報告しないではいられなくなった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鎖藩さはんの政略は、日本全州に行われ、函嶺かんれい関所せきしょを通行するの難きは、仏人がアルサス、ローレンズを通行するの難きよりも難く、年々歳々東西南北の諸大名が、その行列供連ともづれして
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
引連ひきつれなみだながらに住馴すみなれし萩を旅立て播州ばんしう加古川かこがはすこし知音しるべのあれば播州さしてぞ立去たちさりける老母をせし旅なれば急ぐとすれど捗行はかゆか漸々やう/\の事にて加古川につきたれば知音しるべたづね事の始末しまつくはしはなし萬事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
をんなして内裏拝まん朧月
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
して内裏だいり拝まん朧月おぼろづき
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
此の金を得てひそかに家をのがれ出で、袖なるものをして、みやこの方へ逃げのぼりける。かくまでたばかられしかば、今はひたすらにうらみ歎きて、つひに重き病に臥しにけり。
此の物がたりに一一九心のうつるとはなくて、一二〇さてしもその君のはかなくて住ませ給ふはここちかきにや。とぶらひまゐらせて、同じ悲しみをも一二一かたりなぐさまん。一二二し給へといふ。