倩々つく/″\)” の例文
ふるはして申立てけるに其時檢使は彼場所に傘捨有りし傘をいだされ其方此傘に覺え有りやと見せらるれば長庵涙をはらひて倩々つく/″\打詠うちながめ暫くあつて小膝を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見てゐるうちに、倩々つく/″\嫌になつて、一と思にいて了はうかとも思つて見る………氣がいらついて、こぶしまでにぎつた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
痛く恐を帯びたるかなくば気抜せし者なり、余は目科の背後うしろより彼れの人とりを倩々つく/″\見るに歳は三十五より八の間なるく背は並よりもむしろ高く肩広くして首短し
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
りて倩々つく/″\あんずるに、國許くにもとさふらふ恩田杢おんだもく申者まをすもの老職らうしよく末席ばつせきにて年少ねんせうなれど、きつと器量きりやうあるものにつき、國家こくか政道せいだうげてまかまをさむとぞんずるが、それがしかれ若年じやくねんなれば譜代ふだい重役ぢうやくをはじめ家中かちうものども
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
以て願ひますと差出するに駕籠脇かごわきさむらひ請取駕籠の中に差出さしいだせば酒井侯中よりの女の樣子を倩々つく/″\見らるゝに如何にも痩衰やせおとろうれひに沈みし有樣なれば駕籠を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「俺は何故なぜ此樣こんなに體が弱いのだらう。」と倩々つく/″\歎息たんそくする。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ば其儘に致し置べき忠兵衞がたくみと心得候見顯みあらはされし其みぎり助けくれしは却つてあだにて情けなき了簡れうけんに候と涙を流して申立しかば越前守殿倩々つく/″\きか扨々さて/\めずらしき事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)