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佝僂
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せむし
ふりがな文庫
“
佝僂
(
せむし
)” の例文
その足もとに、
佝僂
(
せむし
)
の少年が途方にくれて立っていた。ベルトは最初ひどく心を痛めた。グライヨーが負傷したのだと遠くから思った。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
電車は
佝僂
(
せむし
)
のやうに首を
竦
(
すく
)
めて走つてゐたが、物の
小半丁
(
こはんちやう
)
も往つたと思ふ頃、
何
(
ど
)
うした
機
(
はず
)
みか、ポオルが
外
(
はづ
)
れてはたと立ち停つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「父さんてば、よう、父さん!」今まで椅子に坐って黙りこんでいた
佝僂
(
せむし
)
の娘が、いきなり言ったかと思うと、ハンカチで顔を隠した。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
右へ数えて五つ目が現場の
室
(
へや
)
だった。部厚な扉の両面には、古拙な野生的な構図で、
耶蘇
(
イエス
)
が
佝僂
(
せむし
)
を癒やしている聖画が浮彫になっていた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
さうすると笑は、主人が自分より、十三も年上であること、そして
佝僂
(
せむし
)
であること、そして子供は流産したと極く簡単に話した。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
▼ もっと見る
啓司が気がつくといつの間にかまた一人、往還へ出て
佝僂
(
せむし
)
のような男がやはり、拾いの服装をして往還の右側を拾って行きます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
恐ろしい
佝僂
(
せむし
)
で、高く盛上がった背骨に
吊
(
つ
)
られて
五臓
(
ごぞう
)
はすべて上に昇ってしまい、頭の頂は肩よりずっと低く落込んで、
頤
(
おとがい
)
は
臍
(
へそ
)
を隠すばかり。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
昌作は聞かぬ振をして、『英吉利の詩人にポープといふ人が有つた。その詩人は、
佝僂
(
せむし
)
で
跛足
(
びつこ
)
だつたさうだ。人物の大小は體に關らないさ。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
も一人は図画の教師のアンシオー氏で、前に数行引用した一寄宿生の手紙の中ではアンシオ氏と呼ばれていて、恐ろしい
佝僂
(
せむし
)
の老人だと書かれている。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
停車場の時計でまさに午後四時三十一分、臨時列車は、
佝僂
(
せむし
)
のカラタール氏と巨人のような従者とを載せ、白い湯気を吐いてリヴァプール駅を発車した。
臨時急行列車の紛失
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
十三になるかならぬかのいくらか
佝僂
(
せむし
)
のその少女は、きかれると
片肘
(
かたひじ
)
でKを突き、そばから彼の顔をじっと見た。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
背丈がグッと低く、十三、四歳の日本児童ぐらいにしか見えないところへ、頸部は普通の西洋人以上に
巨大
(
おおき
)
く発達しているために、どうかすると
佝僂
(
せむし
)
に見え易い。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この美しく明朗な容貌と、あの恥ずかしい
佝僂
(
せむし
)
の姿との組合せは、いったいなんの意味を物語るのであろうか? 彼はテーブルに帰り、再びガペンを取り上げる。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
これは私の家の庭に住む
佝僂
(
せむし
)
女である。彼女は自分が佝僂のせいで、よくないことばかり考えている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
身長
(
せい
)
が人並みよりきわ立って低く、頭が人並みよりとりわけ大きく、
侏儒
(
しゅじゅ
)
か
佝僂
(
せむし
)
かを想わせた。そういう金兵衛がそういったようすで、あえぎあえぎ走って行くのである。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この国に多すぎるものは、いびつな風癲者と
佝僂
(
せむし
)
。それにどこか横紙やぶりの類諺集なぞ。
希臘十字
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
平次の右足は二三寸短かくなつて、左肩下りの醜怪な
佝僂
(
せむし
)
の恰好になつて了つたのです。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お客は私の背丈の丁度半分位しかない
佝僂
(
せむし
)
男で、大きな背
瘤
(
こぶ
)
を揺り
蠢
(
うごめ
)
かしながら引掻かんばかりの権幕で主人に喰ってかかっているが、それが一見して親方コブセに相違ないと思われたからである。
親方コブセ
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
佝僂
(
せむし
)
や太っちょも、どんなに見えても構わずに
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
種村の
寿女
(
すめ
)
さんは
佝僂
(
せむし
)
であった。
痀女抄録
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
佝僂
(
せむし
)
で病身でいじけていたが、小僧の役目をしていた。彼の母親は、十七歳のとき家を捨てて、よからぬ労働者と駆け落ちしたのだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
昌作は聞かぬ振をして、『
英吉利
(
イギリス
)
の詩人にポープといふ人が有つた。その詩人は、
佝僂
(
せむし
)
で
跛足
(
ちんば
)
だつたさうだ。人物の大小は体に関らないサ。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この時、大梁の方角から旅車の一つが
轍
(
わだち
)
を鳴らして来たが荘子の前へ来ると急に止まって
御者
(
ぎょしゃ
)
台の傍から一人の
佝僂
(
せむし
)
が飛降りた。近付いて来ると
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
朝枝は水っぽい花模様の
単衣
(
ひとえ
)
を着、
薄赤
(
とき
)
色の
兵児
(
へこ
)
帯を垂らしているが、細面の頸の長い十六の娘で、その
四肢
(
てあし
)
は、
佝僂
(
せむし
)
のそれのように萎え細っていた。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
やはり二十歳ばかりの若い娘ではあったが、見るもあわれな
佝僂
(
せむし
)
で、あとでアリョーシャの聞いたところによると、両足が
萎
(
な
)
えてしまった
躄
(
いざり
)
だとのことであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
にんじんは
燧
(
ひうち
)
をおもちゃにする。そして、歩きかたが
下手
(
へた
)
で、
佝僂
(
せむし
)
かしらと思うくらいだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
と、みじめな
佝僂
(
せむし
)
は、
尖
(
とが
)
った肩を精一杯いからせて
横柄
(
おうへい
)
に言うた。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「あつたよ、今度は、見事にあの
佝僂
(
せむし
)
の胸に突つ立つたまゝ」
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
眼がよくきかないからといって人をあざけるのは、
佝僂
(
せむし
)
だからといって人をあざけるのと、同じくらい残忍なことである、と彼はみずから言った。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一人は足
痿
(
な
)
えの
阿呆
(
あほう
)
、もう一人は足痿えの
佝僂
(
せむし
)
、もう一人は足も達者で、利口すぎるくらいでございますが、女学生でして、もう一度ペテルブルグへ行くと申して、何でもネヴァ川の岸で
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「旦那、今度は
佝僂
(
せむし
)
の菊治がやられたさうですね」
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
佝僂
(
せむし
)
の身体に熱烈な魂を包んでる彼は、戦いを必要としていたが、戦いに適してはいなかった。ある種の邪悪な批評に接すると、血が流れ出るほど傷つけられた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
唇
(
くちびる
)
の裂けたシャカバクや、おしゃべりの理髪師や、カスガールの小さな
佝僂
(
せむし
)
などを、たしかに知ってる気がしたし、また、宝捜しの男の魔法の木の根をくわえてる黒い
啄木鳥
(
きつつき
)
を
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“佝僂”の意味
《名詞》
佝僂病。また、それに罹患した人。
(出典:Wiktionary)
佝
漢検1級
部首:⼈
7画
僂
漢検1級
部首:⼈
13画
“佝僂”で始まる語句
佝僂男
佝僂病
佝僂病者