休息やすみ)” の例文
それは多くの農夫の為に、一日の疲労つかれねぎらふやうにも、楽しい休息やすみうながすやうにも聞える。まだ野に残つて働いて居る人々は、いづれも仕事を急ぎ初めた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
つけてお帰りなさいね。お宅はモルトン町だそうですから、そんな遠い所から、わざわざ出直していらっしゃらないでもよろしゅうございますわ。お宅へ帰ってゆっくりお休息やすみなさい
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
同室どうしつだれかゞ釦鈕ぼたんおとしたとかさじおとしたとか場合ばあひには、かれ寐臺ねだいからおきあがつて、つてる。毎朝まいあさおきると同室どうしつ者等ものらにおはやうとひ、ばんにはまた休息やすみなさいと挨拶あいさつもする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「反吐を吐いて落第するのか、おやおや。じゃ仕方がない。おれも休息やすみつかまつろう」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わしむかしからうつくしいこのやまや、森林しんりんや、はな野原のはらあいする。いまの人間にんげんはすこしの休息やすみもなく、つかれということもかんじなかったら、またたくまにこの地球ちきゅううえ砂漠さばくとなってしまうのだ。
眠い町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少し離れた処からこの光景ありさまを横目で見ながら、静かに狒々の毛皮を脱いで一と休息やすみしようとしている男があった。上品な立派な容貌と、スポーツマンのような美事な風采とに私達は目を見張った。
鉄の処女 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
女房 貴女あなた、お草臥くたびれでございましょう。一息、お休息やすみなさいますか。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
只今ただいま兄がお礼に参りましたの。先生がお好きって妾が申しましたからってね、倉屋の羊羹を持って参りましたの……イイエ。もう帰りましたの。折角お休息やすみのところをお妨げしてはいけないってね。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こころ休息やすみを求めつつ
同室どうしつだれかが釦鈕ぼたんおとしたとかさじおとしたとか場合ばあいには、かれがまず寝台ねだいからおきあがって、ってる。毎朝まいあさおきると同室どうしつ者等ものらにおはようとい、ばんにはまたお休息やすみなさいと挨拶あいさつもする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
夜の休息やすみを知らせる鐘が鳴り渡つて、やがて見廻りに来る舎監の靴の音が遠く廊下に響くといふ頃は、沈まりかへつて居た朋輩がた起出して、暗い寝室の内で雑談に耽つたことを憶出した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こゝに闇あり休息やすみあり
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こゝに闇あり休息やすみあり
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)