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些末
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さまつ
ふりがな文庫
“
些末
(
さまつ
)” の例文
準備を
整
(
ととの
)
えていさえすればいかに
卑近
(
ひきん
)
な教えでも、いかに
些末
(
さまつ
)
な忠告でも、必ずこれを受け取って
発芽
(
はつが
)
して、花咲かせて実るものと思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
生活上の種々なことに
於
(
おい
)
て、人に譲歩する寛い心を持っているので、
些末
(
さまつ
)
なことで人と争ったり、人をへこましたりすることを好みません。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「
忙
(
ぼう
)
におわれ、
些末
(
さまつ
)
に
拘泥
(
こうでい
)
しておって、つい大局を見失っていた。荀攸! なぜ其方は、もっと早く予に注意しなかったのだ」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そのような
些末
(
さまつ
)
なことまで御訊問とは存じませんので」と要屋喜四郎が答えた、「控えの帳簿をしらべませんければお答えが申上げかねます」
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かえって上記のごとき零細
些末
(
さまつ
)
な現象が意外にも重大な役目をつとめることを発見して驚く場合があるであろう。
ニュース映画と新聞記事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
全く
公卿
(
くげ
)
にも似た
馴致
(
じゅんち
)
と遊楽と、形式と慣習と、
些末
(
さまつ
)
な事務よりほか何ものも約束しない、奉公の将来が、すっかり、底の見えたものに考えられてきた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この
容態
(
ようだい
)
で氏は、家庭に
於
(
おい
)
て
家人
(
かじん
)
の
些末
(
さまつ
)
な感情などから
超然
(
ちょうぜん
)
として、自分の
室
(
へや
)
にたてこもり
勝
(
が
)
ちであります。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
日常生活の
些末
(
さまつ
)
の点まで律法によって律しようとする形式主義は、多くこの類のことをなしているのです。パリサイ人しかり、ローマ法王しかりであります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
病人を介抱すると言ふのは
畢竟
(
ひっきょう
)
病人を慰めるのにほかならんのであるから、教へることも出来ないやうな極めて
些末
(
さまつ
)
なる事に気が利くやうでなければならぬ。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
極めて
些末
(
さまつ
)
なる装飾品までも、何が故に人生に要ある。何が故に歌ある。何が故に詩ある。何が故に温柔なる女性の美ある。何が故に花の美ある。何が故に山水の美ある。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
それでその、人の真似をするということは、子供の内から始まって、今言ったような
些末
(
さまつ
)
の事柄ばかりでない、道徳的にもあるいは芸術的にも、社会上においてもそうである。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実際彼から見ていても、父の申し出の中には、あまりに
些末
(
さまつ
)
のことにわたって、相手に腹の細さを見透かされはしまいかと思う事もあった。彼はそういう時には思わず知らずはらはらした。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ロミオ
此
(
この
)
黄金
(
こがね
)
を
遣
(
つかは
)
すぞ、これこそは
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
の
大毒藥
(
だいどくやく
)
ぢゃ、
汝
(
おぬし
)
が
賣
(
う
)
りかぬる
此
(
この
)
些末
(
さまつ
)
なる
藥種
(
やくしゅ
)
よりも
此
(
この
)
濁世
(
ぢょくせ
)
では
遙
(
はるか
)
に
怖
(
おそろ
)
しい
人殺
(
ひとごろ
)
しをするもの。
汝
(
おぬし
)
では
無
(
な
)
うて
予
(
わし
)
こそは
毒
(
どく
)
を
賣
(
う
)
るのぢゃ。さらば。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
些末
(
さまつ
)
な事務が、重大な問題に考えられ、その判断を追えば追うほど、いずれにしたらよいのか分らなくなった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鼈四郎のような生活の
些末
(
さまつ
)
の事にまで、タイラントの
棘
(
とげ
)
が突出ている人間に取り、性抜きの薄綿のような女は
却
(
かえ
)
って引懸り
包
(
くる
)
まれ易い危険があったのだった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その提出された仕事が問題の各方面を引っくるめた全体の上から見ると実に
些末
(
さまつ
)
な価値しかないものと他の多くの人からは思われるものであっても、それが丁度
学位について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかるに不折君に向つての注文は大主意だに説明し置けば
些末
(
さまつ
)
の事は言はずとも
痒
(
かゆ
)
き処に手の届くやうに出来るなり、
否
(
いな
)
余ら素人の考の及ばざる処まで一々巧妙の意匠を
尽
(
つく
)
せり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しかしこの
些末
(
さまつ
)
な嗜好品の流行の事実もそう軽々には
見遁
(
みのが
)
すことの出来ないものではあろうと思われる。
チューインガム
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「大丈夫たる者は、およそ事の
些末
(
さまつ
)
にとらわれず、大乗的に身を処さねばなりますまい。いま丞相は朝廷の第一臣、敗亡の故主を恋々とお慕いあるなど愚かではありませんか」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手近な
些末
(
さまつ
)
な例をあげると、
銀座
(
ぎんざ
)
の
裏河岸
(
うらがし
)
のある町の片側に昔ふうの荷車が十台ほどもずらりと並べておいてある、その反対側にはオートバイがこれも五、六台ほど並んで置かれてあった。
カメラをさげて
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
瀬兵衛も右近も、最前からの不快は
拭
(
ふ
)
き消された。こんどの一戦を前にして、秀吉が剃髪して臨むまでの決意を見せている以上、
些末
(
さまつ
)
な私情に駆られるなどは、みずから恥ずべきだと思った。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
他の人達が天下国家の一大事であるかのごとく議論している事が、自分には一向に一大事のごとく感ぜられないで、どうでもよい
些末
(
さまつ
)
な事のように思われる時ほど自分を不幸に感じることはない。
喫煙四十年
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
些末
(
さまつ
)
な感情などにとらわれている場合ではない。玄徳は二人へいった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またあまりにわずらわしき
些末
(
さまつ
)
の
詮索
(
せんさく
)
に堕するほかはないであろう。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
些
漢検準1級
部首:⼆
7画
末
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
“些末”で始まる語句
些末事
些末主義