万一まんいち)” の例文
旧字:萬一
こういいのこしたおに言葉ことばつなわすれずにいました。それで万一まんいちかえされない用心ようじんに、つなうで丈夫じょうぶはこの中にれて、もんそと
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「かしこまりました。ありがたい思召おぼしめしでございます。工作の方のものどもはもう万一まんいち命令めいれいもあるかと柏林かしわばやし測量そくりょうにとりかかっております」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
万一まんいち彼らが、別の電波を送りはじめたら、機械人間はまた動きだして、自分へとびかかって来ないともかぎらないのだ。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
万一まんいちなおるとしても、やっぱり会う機会はなかろう。妙なものだね。人間の離合というと大袈裟おおげさだが。それに僕から見れば実際離合の感があるんだからな。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いよ/\今夜峰右衞門を殺さうとたくらんだが、万一まんいちの未練で、うたがひを喜八郎に向けようとしたのは良くなかつた——が、死に度くない人間の心持といふものは
やがて、れいの武士ぶしが来て、おまえの名をよぶだろうが、おまえは、どんなことがあっても、だんじて返事へんじをしてはならぬ。万一まんいち返事をしたなら、おまえのからだは、ひきさかれてしまうのだ。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
あの時萩原とお嬢との様子がおかしいから、万一まんいちの事があって、事のあらわれた日には大変、坊主首ぼうずッくびを斬られなければならん、これは危険けんのん君子くんしあやうきに近寄らずというからかぬ方がよいと
「ようございますとも。そのかわり万一まんいちわたしがけたら、にいさんのわりに、わたしがごちそうをしましょう。」
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いよいよ今夜峰右衛門を殺そうとたくらんだが、万一まんいちの未練で、疑いを喜八郎に向けさせようとしたのは良くなかった——が、死に度くない人間の心持というものは
万一まんいち間違でもあっては公儀へ対しても相済まんことだが、そりゃア手前も心得てるだろう、只山路が頼んだというと、山路はお秋の方の実父だから、左様なこともありはせんかとわしは疑ぐる
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
万一まんいちねずみめのいうことがげられて、せっかく自由じゆうになったわれわれが、またもとの窮屈きゅうくつ身分みぶんまれるようなことがあってはたいへんです。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)