“ひれ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒレ
語句割合
80.7%
領巾6.0%
3.3%
領布2.7%
2.0%
0.7%
尾鰭0.7%
0.7%
0.7%
比礼0.7%
比禮0.7%
頭巾0.7%
0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
カイヅのひれ打ち、強い横馳けなどといふものは、一寸ちょっと文字では表現しにくい、実際にその人の感覚に訴へないでは肯けるものではない。
釣心魚心 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
彼は領巾ひれをたまさぐりながら、茫然ばうぜんと室の中にたたずんでゐた。すると眼が慣れたせゐか、だんだんあたりが思つたより、薄明く見えるやうになつた。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わりいどころか! 誰だって、賞めとるよ。ようでけた心のひれえお方じゃと……あの人柄だもん、悪くいわれるところなんぞ、なえじゃなえか……」
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
領布ひれを振つて私を呼ぶ 一もとの紅梅花 おおボン・ジュウル
山果集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
夜が明けてから見ると舟の中に魚のひれが落ちていた。さしわたしが四、五尺ばかりもあった。そこでこれは宵に切ったひじであったということを悟ったのであった。
汪士秀 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「何がつまんねえ? このままにしておきゃあ、何の役にも立たねえ荒地だ。それをこうしてひれえてみねえ、一段歩に何俵という米が出来るじゃねえか。」
土地 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「地所は旦那のものでも、おいらがそれをひれえたんだ。」
土地 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
と云うのは、もはや贅言を費やすまでもなく、それは、はっきりとあの魔の衣裳——いつぞや儀右衛門に示されたところの、人魚の尾鰭ひれ形をした、図紋だったのである。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そして我々を導き入れると同時に、三人はこらえ泳えていた悲しみが一時にせきを切ったように、俄破がばとそこにひれ伏してしまいました。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
まことや金城鉄壁、天下もひれ伏す葵の御定紋が、その切れ端たりとも駕籠の先にかかったならば、もう只の駕籠ではないのです。上将軍家のお召し駕籠も同然なのです。
そうすると、やさしい須勢理媛すぜりひめは、たいそう気の毒にお思いになりました。それでご自分の、比礼ひれといって、かたかけのように使うきれを、そっと大国主神におわたしになって
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
かれその天の日矛の持ち渡り來つる物は、たまたからといひて、珠二つら、またなみ比禮ひれなみる比禮、風振る比禮、風切る比禮、またおきつ鏡、つ鏡、并はせて八種なり。
生きた金魚……真紅のひれをピチピチ躍らせて。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)