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ひやくばい
一層味の
輕い
鳥の
丸燒などはなか/\の
御馳走で、
今の
私の
身には、
世界第一のホテルで、
世界第一の
珍味を
供せられたよりも
百倍も
憘しく
感じた。
可笑しらしく
話して
機嫌を
取れば、
幼な
心に
十倍も
百倍も
面しろく、
吾助々々と
付きまとひて
離れず、
我が
心に
面白しと
聞けば
夫れを
其まヽ
令孃に
語りて、
吾助が
話しは
何ごとも
嘘ならぬ
顏つき
『それ、
櫻木大佐來!
電光艇の
應援ぞ! おくれて
彼方の
水兵に
笑はれな、
進め/\。』の
號令の
下に、
軍艦「
日の
出」の
士官水兵は
勇氣百倍、
息をもつかせず
發射する
彈丸は
現世に
存在得べからざる
海魔とか
船幽靈とかよりは
百倍も
千倍も
恐怖るべき
或者の
仕業で、
何か
企圖つる
所があつて、
我が
弦月丸を
彼處の
海上へ
誘引き
寄せやうとしたのではあるまいか