“こいつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コイツ
語句割合
此奴88.4%
這奴2.9%
此女1.7%
此酒1.2%
斯奴0.6%
此刀0.6%
此剣0.6%
此壺0.6%
此奴等0.6%
此娘0.6%
(他:4)2.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此奴こいつ先刻さつきぼくが飲んだんだから」と云つて、洋盃コツプげたが、蹰躇ちうちよした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
元来古今を貫ぬく真理を知らないから困るのサ、僕が大真理を唱えて万世の煩悩を洗ッてやろうというのも此奴こいつらのためサ。
ねじくり博士 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
助十 這奴こいついよ/\呆れた奴だ。朝つぱらから酒を飮んでゐやあがつた癖に、急病人もよく出來た。あんまり人を馬鹿にするな。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
たとい這奴こいつ山𤢖やまわろの同類にした所で、一人ひとりと一人との勝負ならば多寡たかの知れたものである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……けれどもおれが此女こいつを殺したのは嫉妬じゃない。もうお前がいけないと思ったからこの力が出たんだ。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「驚いたろう。しかしあぶないところだった。もすこしで此女こいつの変態性慾の犠牲になるところだった。こいつは鶴原子爵を殺し、僕を殺して、今度は君に手をかけようとしたのだ。これを見たまえ」
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「何? 氷山だって! 有難い。おい、給仕スチュワート、一っ破片かけらぶっかいて来て呉れ。此酒こいつへ入れるんだ」
運命のSOS (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
されば、僕の『飲めればよし』の『飲めれば』は『此酒こいつは飲める』といふ意味の『飲めればよし』なのである。
書狼書豚 (新字旧仮名) / 辰野隆(著)
「……神経を思ひ出すとね、それから僕は水膨れのやうな青い血管を思ひ出すのだ。固執しだすと斯奴こいつくらゐ薄気味の悪い奴も無いもんだね、不思議に斯う顔の中へ泌みついてビクリビクリと蚯蚓みみずみたいに曲りくねつて這ひ出すやうに思はれるのだ。じつさい、何んだか変に斯う…………」
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
此刀こいつくらわそうか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この成吉思汗ジンギスカンの恋人は、軍馬だ、弓矢だ、此剣こいつだ! 敵の血だ! 砂漠の風だあ——! あははははは。
「へえ、此壺こいつを妻恋坂へ届けせえすれア、とんでけえってめえります。また当分かくまっておもらい申してえんで」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「おウ、チョビ安といったな。此壺こいつをちょっくら預かってくんねえ。あのさんぴんたちに見つからねえようにナ、おらア、ぐるッとそこらを一まわりして、すぐ受けとりに来るからな」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それにのめ/\と尋ねて来やアがって、置いてくれろというから、よもや人を殺し、泥坊をして来たとは思わねえから置いてやれば、今聞けば実に呆れて物が云われねえ奴だ、お母様はゝさま誠に有り難うございまするが、あなたが親父へ義理を立てゝ、此奴等こいつを逃がして下さいましても天命はのがれられませんから
二人のうちでもフイフイっていうのは、まだ十七か八の初々ういういしい聡明りこうそうなをした、スンナリとした小娘でしたが、あっしに色目を使いはじめたのはドウヤラ此娘こいつの方が先だったらしいんです。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「いけねえ、いけねえ。そんな服装で這入へえれるもんか。ここへ親分とこから一枚いちめえ借りて来てやったから、此服こいつを着るがいい」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おれは、此虎こいつに、太陽汗タヤンカンという名をけたよ。
「いやになるなあ! ……あっ、おいっ、此馬こいつはもう助からんぞ」
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江戸を一歩一歩と離れるのは、それだけ故郷に対して一歩一歩とさびしくもあるが、京へ一歩近づくほどに、こいつがよくなるのは有難え。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)