“きおく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
記憶63.4%
気怯16.3%
気後7.8%
記臆7.2%
気臆2.0%
氣後1.3%
心後0.7%
気憶0.7%
氣臆0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分じぶんがうたってもらった記憶きおくをわずかにこして子守歌こもりうたをうたい、やっとねかしつけ、すこしでもやすらかなれといのったのでした。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ばかな!」と、彼は、自分のそうした観念を、時によって生じた理由のない気怯きおくれと自嘲して、ずかずかと、這い出した。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翌朝、約束の時間に先生が見えると、伸子は、いよいよ愚かな気後きおくれを感じた。いっそ、病気にでもなってしまいたい気がした。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
五年を経過した今日になってもなおあきらか記臆きおくしているのである、『竹の里人選歌』なども、先生存生中に自ら選び直さるるならばとにかく
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
……然しそれは気臆きおくれがしたのではない。楽殿の舞台でつぎつぎに披露される鼓くらべは、まだどの一つも彼女をおそれさせるほどのものがなかった。彼女の勝は確実である。
鼓くらべ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
塵一ツなく清められた上に輕く打水のしてある入口いりくちの敷石を踏鳴しながら、かう云ふ時にはいつも氣後きおくれするらしくあとになる女の手を取つて、ずつと玄關へ上ると、其處へ出迎へる大勢の女中。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
はじめのうち心後きおくれしてだまつてますと、二ひき動物どうぶつがそのそば近寄ちかよつてました、みぎひだりに一ぴきづゝくちとを開けるだけおほきくいて、でも、あいちやんは元氣げんきしてはなつゞけました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
源次郎は一刀の鍔前つばまえに手を掛けてはいるものゝ、気憶きおくれがいたし刃向う事は出来ませんですくんで仕舞いました。
「いや、お孃さんと與之助は至つて輕かつた。與之助などは、ひどく吐いた後はケロリとしてゐる、青くなつて寢てゐるのは、氣臆きおくれのせゐだ。あれだけ吐くと、大抵の毒も腹には溜るまい。運が良かつたのだ」