トップ
>
気後
>
きおく
ふりがな文庫
“
気後
(
きおく
)” の例文
旧字:
氣後
元三
(
ウォンサミ
)
爺は何やら話したげに心持ち立ち止りかけたが、白い眼を光らせるつれの男に
気後
(
きおく
)
れがして、そのままへーと笑ってついて行った。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
翌朝、約束の時間に先生が見えると、伸子は、いよいよ愚かな
気後
(
きおく
)
れを感じた。いっそ、病気にでもなってしまいたい気がした。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
戦争が済んで、遠くから戻つて来たものには、どの人間にもかうした一種の
気後
(
きおく
)
れがあるのではないかと思へた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
葉子はそう言って、お茶の
支度
(
したく
)
をしていたが、黒須の低気圧に気がついていたので、さすがに
気後
(
きおく
)
れがしていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼は朝から物を食べていなかった。一歩ごとに
珈琲店
(
カフェー
)
へ出会ったが、中に立て込んでる群集を見ては、
気後
(
きおく
)
れがし嫌な心地になった。彼は巡査に尋ねかけた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
もちろんそんな店へ入るのは初めてである、ちょっと
気後
(
きおく
)
れはしたが、思いきって縄のれんをくぐった。
雪と泥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
陽子はちょっと
気後
(
きおく
)
れがしたように
躊躇
(
ためら
)
っていたが、兄を顧みて口早に云うのだった。
梟の眼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
容顔が美麗なで、
気後
(
きおく
)
れをするげな、この
痴気
(
たわけ
)
おやじと、媼はニヤリ、「鼻をそげそげ、思切って。ええ、それでのうては、こな
爺
(
じじ
)
い、人殺しの
解死人
(
げしにん
)
は
免
(
のが
)
れぬぞ、」と
告
(
の
)
り
威
(
おど
)
す。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長吉は覚えず
後
(
あと
)
を追って
路地内
(
ろじうち
)
へ
這入
(
はい
)
ろうとしたが、同時に一番近くの格子戸が人声と共に
開
(
あ
)
いて、細長い
弓張提灯
(
ゆみはりぢょうちん
)
を持った男が出て来たので、
何
(
なん
)
という事なく長吉は
気後
(
きおく
)
れのしたばかりか
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何物も彼らの幻影をそこなうものはなかったし、彼らを
気後
(
きおく
)
れさせるものはなかった。今では一週に二、三度、熱烈な叙情味の文体で手紙を書き合っていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
驚くほどの混雑で、ホームの人達はみんな窓から列車に乗り込んでゐる。ゆき子も、やつとの思ひで窓から乗車する事が出来た。何も彼もが、俊寛のやうに
気後
(
きおく
)
れする気持ちだつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は覚えず
後
(
あと
)
を追つて
路地内
(
ろぢうち
)
へ
這入
(
はい
)
らうとしたが、同時に一番近くの
格子戸
(
かうしど
)
が
人声
(
ひとごゑ
)
と共に
開
(
あ
)
いて、細長い
弓張提灯
(
ゆみはりぢやうちん
)
を持つた男が出て来たので、
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ事なく長吉は
気後
(
きおく
)
れのしたばかりか
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ一人ではいってゆくことを考えると
気後
(
きおく
)
れがした。一人の給仕が玄関にぶらぶらしていた。彼は子供を引止めて、何しに来たかといたわるような調子で尋ねた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
格子戸の格子を一本々々一生懸命に磨いているのもある。長吉は人目の多いのに
気後
(
きおく
)
れしたのみでなく、さて路地内に
進入
(
すすみい
)
ったにした処で、自分はどうするのかと初めて反省の地位に返った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし幾百人の眼の前で、舞台の上にただ一人立った時、にわかに
気後
(
きおく
)
れがして、本能的に後へ
退
(
さが
)
ろうとした。袖道具の方へふり向いてそこへはいろうとまでした。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
格子戸
(
かうしど
)
の
格子
(
かうし
)
を一本々々一生懸命に
磨
(
みが
)
いて
居
(
ゐ
)
るのもある。
長吉
(
ちやうきち
)
は
人目
(
ひとめ
)
の多いのに
気後
(
きおく
)
れしたのみでなく、さて
路地内
(
ろぢうち
)
に
進入
(
すゝみい
)
つたにした
処
(
ところ
)
で、自分はどうするのかと初めて反省の地位に返つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
クリストフはそういうりっぱな連中に
気後
(
きおく
)
れがして、口をつぐんだまま、懸命に耳を澄ました。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
“気”で始まる語句
気
気色
気遣
気勢
気持
気質
気障
気配
気味
気高