-
トップ
>
-
おほで
お
母樣御機嫌よう
好い
新年をお
迎ひなされませ、
左樣ならば
參りますと、
暇乞わざとうやうやしく、お
峯下駄を
直せ、お
玄關からお
歸りでは
無いお
出かけだぞと
圖分/\しく
大手を
振りて
禪師、
斬られたる
其の
首を
我手に
張子の
面の
如く
捧げて、チヨンと、わけもなしに
項のよき
處に
乘せて、
大手を
擴げ、
逃ぐる
數十の
賊を
追うて
健なること
鷲の
如し。
尋で
瘡癒えて
死せずと
云ふ。
此の
祠に
籠つてから、
幾日の
間か
鳥居より
外へは
出ない、
身躰を
伸々として
大手を
振つて
畝路から
畷へ
出た——
然まで
遠くもない
城ヶ
沼の
方へ、
何となく
足が
向いて、ぶらり/\と
歩行いたが