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おほて
と
私は
單獨で
叫んで
見た。
強いて
斯る
妄念を
打消さんとて
態と
大手を
振つて
甲板を
歩み
出した。
空濠と
云ふではない、が、
天守に
向つた
大手の
跡の、
左右に
連なる
石垣こそまだ
高いが、
岸が
浅く、
段々に
埋れて、
土堤を
掛けて
道を
包むまで
蘆が
森をなして
生茂る。
坤に
開いてゐる城の
大手は土井の
持口である。
詰所は門内の北にある。門前には
柵を
結ひ、
竹束を立て、土俵を築き上げて、
大筒二門を
据ゑ、別に
予備筒二門が置いてある。