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向
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む
ふりがな文庫
“
向
(
む
)” の例文
そのそばに
生
(
は
)
えている
青木
(
あおき
)
の
葉
(
は
)
が
黒
(
くろ
)
ずんで、やはり
霜柱
(
しもばしら
)
のために
傷
(
いた
)
んで
葉
(
は
)
はだらりと
垂
(
た
)
れて、
力
(
ちから
)
なく
下
(
した
)
を
向
(
む
)
いているのでありました。
小さな草と太陽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
奇麗
(
きれい
)
なすきとおった風がやって
参
(
まい
)
りました。まず
向
(
む
)
こうのポプラをひるがえし、青の
燕麦
(
オート
)
に
波
(
なみ
)
をたてそれから
丘
(
おか
)
にのぼって来ました。
おきなぐさ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
我
(
われ
)
ゆゑ
死
(
し
)
ぬる
人
(
ひと
)
のありとも
御愁傷
(
ごしうしよう
)
さまと
脇
(
わき
)
を
向
(
む
)
くつらさ
他處目
(
よそめ
)
も
養
(
やしな
)
ひつらめ、さりとも
折
(
おり
)
ふしは
悲
(
かな
)
しき
事
(
こと
)
恐
(
おそ
)
ろしき
事
(
こと
)
胸
(
むね
)
にたゝまつて
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
烈々
(
れつ/\
)
と
燃
(
も
)
える
暖炉
(
だんろ
)
のほてりで、
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
の、
小刀
(
ナイフ
)
を
持
(
も
)
つたまゝ
頤杖
(
あごづゑ
)
をついて、
仰向
(
あふむ
)
いて、ひよいと
此方
(
こちら
)
を
向
(
む
)
いた
父
(
ちゝ
)
の
顔
(
かほ
)
が
真蒼
(
まつさを
)
に
成
(
な
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
俺
(
お
)
ら
其
(
そ
)
の
手拭
(
てぬげ
)
被
(
かぶ
)
つてこつち
向
(
む
)
いてる
姐樣
(
あねさま
)
こと
寄
(
よ
)
せて
見
(
み
)
てえもんだな」
立
(
た
)
ち
塞
(
ふさ
)
がつた
陰
(
かげ
)
から
瞽女
(
ごぜ
)
の
一人
(
ひとり
)
へ
揶揄
(
からか
)
つていつたものがある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
牛込
見附
(
みつけ
)
迄
来
(
き
)
た
時
(
とき
)
、遠くの小石川の
森
(
もり
)
に数点の
灯影
(
ひかげ
)
を
認
(
みと
)
めた。代助は
夕飯
(
ゆふめし
)
を
食
(
く
)
ふ考もなく、三千代のゐる方角へ
向
(
む
)
いて
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さうだ、
全
(
まつた
)
く
蒸
(
む
)
すね。
惡
(
わる
)
くすると、
明日
(
あした
)
は
雨
(
あめ
)
だぜ‥‥」と、
私
(
わたし
)
は
振
(
ふ
)
り
向
(
む
)
き
樣
(
ざま
)
に
答
(
こた
)
へた。
河野
(
かうの
)
の
眠
(
ねむ
)
さうな
眼
(
め
)
が
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
にチラリと
光
(
ひか
)
つた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
氏はその時受けた感じを、たとえば何か、固い
火箸
(
ひばし
)
のようなもので
向
(
む
)
こう
脛
(
ずね
)
をなぐられたような——到底説明しがたい感じだといった。
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
みんなは「さんせいだ。」というような
顔
(
かお
)
をしましたが、さてだれ
一人
(
ひとり
)
進
(
すす
)
んで
猫
(
ねこ
)
に
向
(
む
)
かっていこうというものはありませんでした。
猫の草紙
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
が
忽
(
たちま
)
ち、
何
(
なに
)
か
恐
(
おそろ
)
しい
事
(
こと
)
でも
急
(
きふ
)
に
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したかのやうに、
彼
(
かれ
)
は
頭
(
かしら
)
を
抱
(
かゝ
)
へるなり、
院長
(
ゐんちやう
)
の
方
(
はう
)
へくるりと
背
(
せ
)
を
向
(
む
)
けて、
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
になつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何方
(
どつち
)
を
向
(
む
)
いたツて、人の影が一つ見えるのではない。
何處
(
どこ
)
までも
眞
(
ま
)
ツ
暗
(
くら
)
で、其の中に
其處
(
そこ
)
らの流の音が、夜の
秘事
(
ひめごと
)
を
私語
(
ささや
)
いてゐるばかり。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
そして、
川
(
かわ
)
にとびこんで
向
(
む
)
こう
岸
(
ぎし
)
へ
逃
(
に
)
げようか、
藪
(
やぶ
)
の
中
(
なか
)
にもぐりこんで、
姿
(
すがた
)
をくらまそうか、と、とっさのあいだに
考
(
かんが
)
えたのであります。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そのうち
或
(
あ
)
る
日
(
ひ
)
上座
(
じやうざ
)
の
像
(
ざう
)
に
食事
(
しよくじ
)
を
供
(
そな
)
へて
置
(
お
)
いて、
自分
(
じぶん
)
が
向
(
む
)
き
合
(
あ
)
つて一しよに
食
(
た
)
べてゐるのを
見付
(
みつ
)
けられましたさうでございます。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
庭
(
にわ
)
へ
向
(
む
)
いた
縁
(
えん
)
ばな——
金魚鉢
(
きんぎょばち
)
から六
尺
(
しゃく
)
ほどのへだたりがあつたが、その
縁
(
えん
)
ばなにウィスキイの
角
(
かく
)
びんと、九
谷
(
たに
)
らしい
盃
(
さかずき
)
が二つおいてあつた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
ところが人形には、
薄
(
うす
)
い
着物
(
きもの
)
の下に
釘
(
くぎ
)
がいっぱい、
尖
(
とが
)
った
先
(
さき
)
を外に
向
(
む
)
けてつまっているのです。いくら
大蛇
(
おろち
)
でもたまりません。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
鳥屋
(
とや
)
は
小鳥
(
ことり
)
を
捕
(
と
)
るために
造
(
つく
)
つてある
小屋
(
こや
)
のことです。
何方
(
どつち
)
を
向
(
む
)
いても
山
(
やま
)
ばかりのやうなところに、その
小屋
(
こや
)
が
建
(
た
)
てゝあります。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
中番頭
(
ちゅうばんとう
)
から
小僧達
(
こぞうたち
)
まで、一
同
(
どう
)
の
顔
(
かお
)
が一
齊
(
せい
)
に
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
方
(
ほう
)
へ
向
(
む
)
き
直
(
なお
)
った。が、
徳太郎
(
とくたろう
)
は
暖簾口
(
のれんぐち
)
から
見世
(
みせ
)
の
方
(
ほう
)
を
睨
(
にら
)
みつけたまま、
返事
(
へんじ
)
もしなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
合憎
(
あいにく
)
われとは
大分
(
だいぶ
)
はなれて居たのでよくは分らぬが、年は廿七、八まだ三十には成るまい、
不絶
(
しじゆう
)
、
点頭勝
(
うつむきがち
)
に、こちらに
脊
(
せ
)
を
向
(
む
)
けて腰かけて居る
夜汽車
(新字旧仮名)
/
尾崎放哉
(著)
いよいよ
私
(
わたくし
)
の
病勢
(
びょうせい
)
が
重
(
おも
)
って、もうとても
難
(
むずか
)
しいと
思
(
おも
)
われました
時
(
とき
)
に、
私
(
わたくし
)
は
枕辺
(
まくらべ
)
に
坐
(
すわ
)
って
居
(
お
)
られる
母
(
はは
)
に
向
(
む
)
かって
頼
(
たの
)
みました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
かれは塾生たちの静坐の姿勢を直したあと、朝倉先生の横に
斜
(
なな
)
め
向
(
む
)
きにすわっていたので、よく全体が
見渡
(
みわた
)
せたのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
わたしたちは、
園
(
その
)
の
向
(
む
)
こう
側
(
がわ
)
を取り
巻
(
ま
)
いているかきねのそばまで行ってみて、
初
(
はじ
)
めてハンケチをふっている人を見つけた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
食後ナイエル夫人は亡夫の肖像を掛けた一室へ僕等三人を
延
(
ひ
)
いてカンキナ
酒
(
しゆ
)
の小さな
杯
(
さかづき
)
を勧め、自身はピヤノに
向
(
む
)
いて二三の
小歌
(
こうた
)
を
好
(
い
)
い声で歌つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
振
(
ふ
)
り
向
(
む
)
くと、それがボズさんと
後
(
のち
)
に
知
(
し
)
つた
老爺
(
ぢいさん
)
であつた。七十
近
(
ちか
)
い、
背
(
せ
)
は
低
(
ひく
)
いが
骨太
(
ほねぶと
)
の
老人
(
らうじん
)
で
矢張
(
やはり
)
釣竿
(
つりざを
)
を
持
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
る。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その小さな淵の上には、柳のかなりな大木が枝さへ垂らしてゐるといふ、赤蛙にとつては
誂
(
あつら
)
へ
向
(
む
)
きの風景なのだ。なぜあの淵を渡らうとはせぬのだらう?
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
チッバ やア、
下司
(
げす
)
下郎
(
げらう
)
を
敵手
(
あひて
)
にして
汝
(
おぬし
)
は
劍
(
けん
)
を
拔
(
ぬ
)
かうでな? ベンヺーリオー、こちを
向
(
む
)
け、
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
ってくれう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
此豫報
(
このよほう
)
が一たび
各新聞
(
かくしんぶん
)
に
由
(
よ
)
つて
傳
(
つた
)
へられると、
迷信
(
めいしん
)
非迷信
(
ひめいしん
)
に
關
(
かゝは
)
らず、
江湖
(
こうこ
)
は
大
(
おほ
)
いなる
注意
(
ちうい
)
を
之
(
これ
)
に
向
(
む
)
けて
拂
(
はら
)
つた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
先刻
(
せんこく
)
から、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
傍
(
かたはら
)
に、
行儀
(
ぎようぎ
)
よく
吾等
(
われら
)
の
談話
(
はなし
)
を
聽
(
き
)
いて
居
(
を
)
つたが、
幼
(
いとけな
)
き
心
(
こゝろ
)
にも
話
(
はなし
)
の
筋道
(
すぢみち
)
はよく
分
(
わか
)
つたと
見
(
み
)
へ、
此時
(
このとき
)
可愛
(
かあい
)
らしき
眼
(
め
)
を
此方
(
こなた
)
に
向
(
む
)
け
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
六五
早池峯
(
はやちね
)
は
御影石
(
みかげいし
)
の山なり。この山の小国に
向
(
む
)
きたる
側
(
かわ
)
に
安倍ヶ城
(
あべがじょう
)
という岩あり。
険
(
けわ
)
しき
崖
(
がけ
)
の中ほどにありて、人などはとても行きうべきところにあらず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
きっと、鳥たちはみんなおなかを上に
向
(
む
)
けて飛んでいるのだろうと、ニールスは思いこんでしまいました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
子供
(
こども
)
の
兩足
(
りようあし
)
を
捕
(
とら
)
へて
倒
(
さか
)
さにつるし、
顏
(
かほ
)
を
外
(
そと
)
に
向
(
む
)
けて、
膝
(
ひざ
)
もて
背
(
せなか
)
を
撞
(
つ
)
くと
云
(
い
)
ふのですさうすれば、
曾
(
かつ
)
ての
實驗
(
じつけん
)
に
依
(
よつ
)
て
出
(
で
)
るから、
之
(
これ
)
を
遣
(
や
)
ツて
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れと
熱心
(
ねつしん
)
に
勸
(
すゝ
)
めました
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
さう
呟
(
つぶや
)
きながら、
私
(
わたし
)
は
部屋
(
へや
)
の
隅
(
すみ
)
から
枕
(
まくら
)
を
巡
(
めぐ
)
らして、
明
(
あか
)
るい
障子
(
しやうじ
)
の
方
(
はう
)
にその
面
(
おもて
)
を
向
(
む
)
けた。
南向
(
みなみむ
)
きといふ
事
(
こと
)
は
何
(
なん
)
といふ
幸福
(
かうふく
)
な
事
(
こと
)
であらう、それは
冬
(
ふゆ
)
の
滋養
(
じやう
)
を
大半
(
たいはん
)
領有
(
りやういう
)
する。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
それから、——どうです、
慾
(
よく
)
と
云
(
い
)
ふものは、
恐
(
おそろ
)
しいではありませんか? それから
半時
(
はんとき
)
もたたない
内
(
うち
)
に、あの
夫婦
(
ふうふ
)
はわたしと一しよに、
山路
(
やまぢ
)
へ
馬
(
うま
)
を
向
(
む
)
けてゐたのです。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
晴着
(
はれぎ
)
の
場所
(
ばしよ
)
へは
向
(
む
)
かない。これは
彼
(
かれ
)
を
蔑
(
さげす
)
み、
彼
(
かれ
)
はこれを
憤
(
いきどほ
)
る。こんなことが、一
體
(
たい
)
あつてよいものか
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
「ああ、すこしありますよ」女房は入口の方へ体を
捻
(
ね
)
じ
向
(
む
)
けて、客を
透
(
すか
)
すようにしたが、障子の陰になって客の姿は見えなかった。が、それでも、「いらっしゃいまし」
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『
御用
(
ごよう
)
でございますか。』と、
紀
(
こつな
)
は
振
(
ふ
)
り
向
(
む
)
いて
跪
(
ひざまづ
)
いた。
但馬守
(
たじまのかみ
)
はヂッと
紀
(
こつな
)
の
顏
(
かほ
)
を
見詰
(
みつ
)
めてゐたが
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
『
奇妙々々
(
きめう/\
)
!』と
愛
(
あい
)
ちやんが
叫
(
さけ
)
びました(
非常
(
ひじやう
)
に
驚
(
おどろ
)
いた
爲
(
ため
)
に
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つて
可
(
い
)
いか
些
(
ちよつ
)
と
解
(
わか
)
らず)『
今
(
いま
)
私
(
わたし
)
は一
番
(
ばん
)
大
(
おほ
)
きい
望遠鏡
(
ばうゑんきやう
)
のやうに、
何時
(
いつ
)
も
外
(
そと
)
へ
向
(
む
)
いたッきりだわ!
左樣
(
さやう
)
なら、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
当季
(
たうき
)
斯
(
か
)
やうな
物
(
もの
)
は誠に少なくなりましたがと
云
(
い
)
つて、
服紗
(
ふくさ
)
を
刀柄
(
つか
)
へ
巻
(
ま
)
いて
抜
(
ぬ
)
くんだよ、
先方
(
むかう
)
へ
刃
(
は
)
を
向
(
む
)
けないやうに、
此方
(
こちら
)
へ
刃
(
は
)
を向けて
鋩子先
(
ばうしさき
)
まで
出
(
で
)
た処でチヨンと
鞘
(
さや
)
に
収
(
をさ
)
め
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
缶は、横とびにとんで、艇夫長の
向
(
む
)
こう
脛
(
ずね
)
に、ごつんといやな音をたてて、ぶつかった。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ちょうど
召使
(
めしつかい
)
がそこいらに
多勢
(
おおぜい
)
いましたので、お医者さんはその人たちに言いつけて、できるだけ早く寝台をぐるりとまわして、死神が足のそばに立つような
向
(
む
)
きになおしました。
死神の名づけ親(第二話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
植竹
(
うゑたけ
)
の
本
(
もと
)
さへ
響
(
とよ
)
み
出
(
い
)
でて
去
(
い
)
なば
何方
(
いづし
)
向
(
む
)
きてか
妹
(
いも
)
が
嘆
(
なげ
)
かむ 〔巻十四・三四七四〕 東歌
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そのほか、あなたこなたの
職掌
(
しょくしょう
)
向
(
む
)
きも、茶屋酒、用うべし、脂粉の好みには、女も供えてやるがよく、小判小粒ですむところは、なぜ、手でつかみ出して、
撒
(
ま
)
いてやらなかったのか。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その四
角
(
かく
)
な
彼女
(
かれ
)
が
向
(
む
)
いてる
硝子窓
(
がらすまど
)
からは、
黄色
(
きいろ
)
い
落葉松
(
からまつ
)
の
林
(
はやし
)
や、
紫色
(
むらさきいろ
)
の
藻岩山
(
さうがんざん
)
が
見
(
み
)
えて、いつもまち
子
(
こ
)
が
腰
(
こし
)
をおろして
涙
(
なみだ
)
ぐむ
時
(
とき
)
は、
黄昏
(
たそがれ
)
の
夕日
(
ゆふひ
)
のおちる
時
(
とき
)
で
硝子窓
(
がらすまど
)
が
赤
(
あか
)
くそまつてゐた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
ある犬通の話に、
野犬
(
やけん
)
の牙は
飼犬
(
かいいぬ
)
のそれより長くて鋭く、且
外方
(
そっぽう
)
へ
向
(
む
)
くものだそうだ。
生物
(
せいぶつ
)
には
飢
(
うえ
)
程恐ろしいものは無い。食にはなれた野犬が猛犬になり狂犬になるのは唯一歩である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この
石
(
いし
)
の
室
(
しつ
)
は、
圓塚
(
まるづか
)
ではたいていその
前
(
まへ
)
の
方
(
ほう
)
(
南
(
みなみ
)
に
向
(
む
)
いたものが
多
(
おほ
)
いのですが)に
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いてをり、
前方後圓
(
ぜんぽうこうえん
)
の
塚
(
つか
)
では、
後
(
うしろ
)
の
方
(
ほう
)
の
圓
(
まる
)
い
丘
(
をか
)
の
横
(
よこ
)
に
入
(
い
)
り
口
(
ぐち
)
を
開
(
ひら
)
いてゐるのが
普通
(
ふつう
)
であります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
暫
(
しばら
)
くして、ラランはその
弱
(
よは
)
つたからだを
南
(
みなみ
)
へ
向
(
む
)
けて、
熱
(
あつ
)
い
印度
(
インド
)
の
方
(
はう
)
へふらふら
飛
(
と
)
んでゐたが、ガンガといふ
大河
(
たいか
)
の
上流
(
じようりう
)
で、
火傷
(
やけど
)
した
口
(
くち
)
の
渇
(
かわ
)
きを
湿
(
うる
)
ほさうとして
誤
(
あやま
)
つて
溺
(
おぼ
)
れ
死
(
し
)
んでしまつた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
私はロチスター氏がイングラム孃を
顧
(
かへり
)
みイングラム孃が彼の方を
向
(
む
)
くのを見た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
若旦那の
甲子太郎
(
きねたろう
)
様や、奉公人たちが多勢飛んで来ましたが、——殺されたとなると、お
上
(
かみ
)
向
(
む
)
きも面倒になるし、商売柄人様に
怨
(
うら
)
まれているからだと、世間様に思われるのも
口惜
(
くや
)
しいから
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
思
(
おも
)
ふにコロボツクルは適當の
石
(
いし
)
を
獲
(
え
)
たる時、又は
氣
(
き
)
の
向
(
む
)
きたる時に、
必要以外
(
ひつえういぐわい
)
の
石鏃
(
せきぞく
)
を
作
(
つく
)
り
置
(
お
)
き之を土器其他の入れ物に
収
(
をさ
)
めて後日の
豫備
(
よび
)
とし或は
物品交換
(
ぶつぴんかうくわん
)
の用に
供
(
きよう
)
する爲
貯
(
たくは
)
へ
置
(
お
)
きしならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
御意に入りましたら
蔭膳
(
かげぜん
)
を
信濃
(
しなの
)
へ
向
(
む
)
けて人知らぬ寒さを知られし都の
御方
(
おかた
)
へ
御土産
(
おみやげ
)
にと心憎き
愛嬌
(
あいきょう
)
言葉
商買
(
しょうばい
)
の
艶
(
つや
)
とてなまめかしく売物に
香
(
か
)
を添ゆる口のきゝぶりに利発あらわれ、
世馴
(
よな
)
れて渋らず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこでみんなはくつろいで、
気
(
き
)
の
向
(
む
)
いた
様
(
よう
)
にふるまいました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
“向”の解説
向(しょう、こう)は、漢姓のひとつ。
同じ漢字を使う日本の姓向(むかい、むかえ、むこう)についてもこの記事で述べる。
琉球王国の向氏については、第二尚氏を参照。
(出典:Wikipedia)
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“向”を含む語句
仰向
真向
斜向
上向
一向
手向
日向
俯向
眞向
向合
向側
差向
向山
向後
方向
背向
趣向
筋向
対向
川向
...