“向側”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むこうがわ65.5%
むかいがわ10.9%
むかうがは9.1%
むかふがは7.3%
むこうかわ3.6%
むかうがわ1.8%
むこう1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寒い時分で、私は仕事机のわき紫檀したん長火鉢ながひばちを置いていたが、彼女はその向側むこうがわ行儀ぎょうぎよく坐って、両手の指を火鉢のふちへかけている。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
中にも、長椅子に横わっている龍ちゃんと、丁度僕の向側むかいがわに腰かけている鞠子さんの服装が、闇をぼかして、薄白く浮上って来た。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一方いつぱう廣庭ひろにはかこんだ黒板塀くろいたべいで、向側むかうがは平家ひらや押潰おしつぶれても、一二尺いちにしやく距離きよりはあらう、黒塀くろべい眞俯向まうつむけにすがつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしても、ありや萬里ばんり長城ちやうじやう向側むかふがはにゐるべき人物じんぶつですよ。さうしてゴビの沙漠さばくなか金剛石ダイヤモンドでもさがしてゐればいんです
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ふと気がつくと、二人の客の話声はなしごえがいつの間にかやんで、その代りに、調子の違った二通りのいびきが、部屋の向側むこうかわから響いていました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
玄関は向側むかうがわにあって細長い島の庭を見下みおろしている、二人の訪問者は低いやぐらの下に、ほとんど家の三方を縁どっている小径こみちについて廻って行ったのである。
しかし女が捻らない先に鉄の取手がガチャリと鳴って扉が向側むこうから押し開らいた。女は二、三歩よろめいた。その鼻先へ突き出されたものは自動拳銃の銃口つつさきである。女はまたもよろめいた。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)