使つかひ)” の例文
取出し見れば最早もはやかほ劔難けんなんさうあらはれたれば然ば明日は病氣といつはり供を除き捕手とりての向はぬ内に切腹せつぷくすべしと覺悟かくごを極め大膳のもと使つかひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『寐たなら起して聞け。今日おかあ樣からお使つかひを頼まれてゐるだらう。その品物を直ぐ持つて來いと言へ。あいつは近頃横着わうちやくになつた。』
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
夜中よなか彼等かれらつた。勘次かんじ自分じぶんいそぐし使つかひつかれたあしあるかせることも出來できないのでかすみうら汽船きせん土浦つちうらまちた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ある猟人かりうどの生れた遠い町からはる/″\使つかひが来ました。猟人のお父さまが病気で死にかゝつてゐるといふ知らせです。猟人はびつくりして
星の女 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
「売らずに置けと云つて置いたからね、二三日うちにとつて来なさい。もし出かけるひまがなけりや、使つかひでもなんでもやりなさい。」
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし、いまからもう病家びやうかまはりでもあるまいし、自宅じたく方々はう/″\から、のつくやうにむかへの使つかひたことを想像さうざうして、こしをもぢ/\さしてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
げに彼はクリストの使つかひまたその弟子なることを示せり、かれに現はれし最初の愛はクリストの與へ給ひし第一のさとしに向ひたればなり 七三—七五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
(やあ、御坊様ごばうさま、)といはれたから、ときときなり、こゝろこゝろ後暗うしろぐらいので喫驚びつくりしてると、閻王えんわう使つかひではない、これが親仁おやぢ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
江戸に下り余が家の(京橋南街第一衖)むかひの裏屋うらやに住しに、一日あるひ事のついでによりて余が家に来りしより常に出入でいりして家僕かぼくのやうに使つかひなどさせけるに
呉王ごわう臺上だいじやうより、((孫子ガ))まさ愛姫あいきらんとするをおほいおどろき、すみやかに使つかひをしてれいくださしめていは
村の人たちは、お婆さんを天の使つかひだといつてた者も、魔法使だといつてた者も、みな驚いて、かけつけてきました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
あめ晴間はれまには門野かどのを連れて散歩を一二度した。然しうちからは使つかひ手紙てがみなかつた。代助は絶壁ぜつぺきの途中で休息する時間の長過ぎるのにやすからずなつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
をおもふたふと親心おやごゝろ! おやにとつてほどのものがありませうか。どもはいのち種子たねであり、どもはぐものであり、どもはてん使つかひであり。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
あの朝大家さまから使つかひが来てネ、おめひら何年もこゝに居て気の毒だが、さう/\店賃たなちんが滞つちやア困るから、どうも仕方がねい、あしたにも出てもれひてい
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
中々なか/\うまいね……エーわたくし書林ほんやから使つかひまゐりましたが、先生にこれは誠に少々せう/\でございますが差上さしあげてれろと、主人に斯様かうまうされまして、使つかひまかでました。
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それを聞いた法科大学の佐藤丑次郎博士は、自分がその米国案内記を持つてゐる事を思ひ出して、紐育ニユーヨークの詳しい地図と一緒に、使つかひで内田氏のところへ持たせてやつた。
平八郎の母の兄、東組与力大西与五郎おほにしよごらう病気引びやうきびきをしてゐる所へ使つかひつて、をひ平八郎に切腹させるか、刺し違へて死ぬるかのうちを選べと云はせたのが三つである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かゝさま、そのどくって使つかひをとことやらがきまったら、くすりわたし調合てうがふせう、ロミオがそれをれたら、すぐにも安眠あんみんしをるやうに。おゝ、彼奴あいつくとふるへる。
近江の二六佐々木氏綱ささきうぢつなみそか使つかひにえらばれて、かのみたちにとどまるうち、さきの城主二七尼子経久あまこつねひさ二八山中たうをかたらひて、二九三十日みそかの夜三〇不慮すずろに城を乗りとりしかば
さてそこで、これは打ちてておくことは出来ない。お寺からの使つかひも「叱つてやつて下さい。」と、あんなに判然はつきりいつて行つたのだから、何とかして栄蔵をこらしめねばならない。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
わかければ道行みちゆらじまひはせむ黄泉したべ使つかひひてとほらせ 〔巻五・九〇五〕 山上憶良
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
子供等は持つて帰つた林檎をおいしさうに食べるのであつたが、私は一れも食べる気がしなかつた。夕飯ゆふはんの時に阪本さんが来た。留守の間に浅草の川上さんのお使つかひが見えたさうである。
六日間:(日記) (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
それでね、死んだおとツつアんのお墓を谷中やなか染井そめゐ何処どこかへ移さなくつちやならないんだつてね、四五日まへにお寺からお使つかひが来たから、どうしたものかと、の相談に行かうと思つてたのさ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
つるぎつゑに。松陰まつかげの。いはほさゝへて。吐息といきつく。時哉をりしも見ゆる。若武者わかむしやは。そもいくさの。使つかひかや。ればころもの。美麗うるはしさ。新郎はなむことかも。あやまたる。其鬚髯そのほうひげの。新剃にひそりは。秋田あきたを刈れる。刈稻かりしねの。そろへるさまに。
「西周哲学著作集」序 (旧字旧仮名) / 井上哲次郎(著)
夫に別れてからでも、町の居酒屋で泥酔して、使つかひを受けて迎へに行つたことなどもあつた。嫁に来た当座には、何処どこか酒のない国に行きいと思つた。母親はよくかう子供等に話して聞かせた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
もみぢの散りゆくなべにたまづさの使つかひを見ればひし日おもほゆ
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
はしらの宮のみ使つかひ
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
よる使つかひにぞ鳴く
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
使つかひ口上こうじやうちがひまして、ついれませぬこと下根げこんのものにわすれがちにござります、よく、拜見はいけんしておぼえますやうに。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
江戸に下り余が家の(京橋南街第一衖)むかひの裏屋うらやに住しに、一日あるひ事のついでによりて余が家に来りしより常に出入でいりして家僕かぼくのやうに使つかひなどさせけるに
威王ゐわう莊周さうしうけんなるをき、使つかひをして(三一)へいあつうしてこれむかへしめ、(三二)ゆるすにしやうすをもつてす。莊周さうしうわらつて使者ししやつていは
ほめざるはなし今菊が申す處は皆理の當然たうぜんにして汝等が申條は甚だ不都合なり現在げんざい母の三年越にわづらふを假令何程商賣が閙敷せはしくとて一度見舞しほか使つかひにても容體を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
状袋ののり湿めして、赤い切手をとんとつた時には、愈クライシスに証券を与へた様な気がした。彼は門野かどのに云ひ付けて、此運命の使つかひを郵便ばこげ込ました。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つぎ午餐過ひるすぎ卯平うへい使つかひともにのつそりと長大ちやうだい躯幹からだおもて戸口とぐちはこばせた。かれしきゐまたぐとともに、そのときはもうたゞいたい/\というて泣訴きふそして病人びやうにんこゑいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
マアそれいがね、どうもおまへなん使つかひだつて、あんま無作法ぶさはふすぎるぢやアないか、ものわきまへて見なさい、マアわたしうちだからいが、ほかつてんな事をすると笑はれるよ
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
さう使つかひの者は言ひました。ハボンスは、王様よりも大勢の人に見てもらひたいと思ひましたが、一日でよいからと頼まれましたので、迎ひの駕籠かごに乗つて御殿へ参りました。
シャボン玉 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
堀はそれを持たせて使つかひを出したあとで、暫く腕組うでぐみをしてひて気を落ち着けようとしてゐた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
埃及王はかねて自分が智慧袋にしてゐる希臘ギリシヤの哲学者ビヤスに使つかひを立てて訊く事にめた。
ヂョン はて、とゞけることをうせなんだのぢゃ。……これ、此通このとほってもどった。……此庵こちとゞけうとおもうてもな、みな傳染でんせんこはがりをるによって、使つかひをとこさへもやとへなんだわいの。
私が扇屋へ行く使つかひ丁稚でつちいて行つた時、丁稚の渡す買物帳を其処そこ手代てだいうしろの帳場へ投げました。そしてかちかちと音をさせて扇箱から出した五六本の扇が私の丁稚に渡されました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
よる使つかひの蝙蝠の
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
はへうじも、とは、まさかひはしなかつたけれども、場合ばあひ……きれいきたないなんぞ勿體もつたいないと、たちのき場所ばしよ周圍しうゐからせつて、使つかひかはつて、もう一度いちど
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ここおいて、孫子そんし使つかひをしてわうはうぜしめていはく、『へいすで整齊せいせいす、わうこころみにくだりてこれし。わうこれもちひんとほつするところ水火すゐくわおもむくといへど可也かなり
他に新姻ありし家あれば又いた式前しきまへのごとし。此神使はかの花水をたまふ事を神より氏子へのり給ふの使つかひ也。
所が此夏このなつ高等学校の受験生の答案調しらべを引き受けた時の手当てあてが六十円此頃になつて漸く受け取れた。それで漸く義理を済ます事になつて、与次郎が其使つかひを云ひかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじもかせえてらせやがればえゝのに」卯平うへいがぶすりとつぶやこゑひくくしかもみんなのみゝそこひゞいた。卯平うへい未明みめい使つかひるまではおしな病氣びやうきはちつともらずにた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さア使つかひ仕様しやうぼくをしへてあげるからマアきみ椅子いすこしたまへ、きみぼくだよ、ぼくきみになつて、使つかひ小僧こぞうさんの声色こわいろを使ふから大人おとなしく其処そこで待つておで、ぼくのつもりでおでよ。
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
手前てまへひいさまが御親類ごしんるゐがたのお廟所たまやらせらるゝをるやいなや、驛馬はやうま飛乘とびのっておらせにまゐりました。此樣このやうしいお使つかひ命置おほせおかせられた役目やくめゆゑでござります、御免ごめんなされませい。
その人達は、その日もドオデエの新作を褒めそやしてばかりゐた。そこへ使つかひが持つて来たのが、紐育の本屋からの電報だつた。『サツフオ』の作者は胸を躍らしながら封を切つた。なかには
延期は自分がめて堀に言つてつた。し手遅れと云ふ問題が起ると、堀はまぬかれて自分は免れぬのである。跡部が丁度このあらたに生じた疑懼ぎくに悩まされてゐる所へ、堀の使つかひが手紙を持つて来た。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)