“夜中”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
よなか57.1%
やちゅう29.3%
やちゆう2.9%
よじゅう2.9%
やちう2.0%
よるじゅう1.0%
よるぢゆう1.0%
こゝのつ0.5%
ここのつ0.5%
やじゅう0.5%
よぢう0.5%
よぢゅう0.5%
よぢゆう0.5%
よる0.5%
よるぢう0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なんでも夜中よなかすぎになると、天子てんしさまのおやすみになる紫宸殿ししいでんのお屋根やねの上になんともれない気味きみわるこえくものがあります。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
十歳を越えてなお夜中やちゅう一人で、かわやに行く事の出来なかったのは、その時代に育てられた人のの、敢て私ばかりと云うではあるまい。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
第二 毎日まいにち食餌しよくじ三度さんどかぎり、分量ぶんりやうさだし。夜中やちゆう飮食いんしよくせざるをもつともよしとす。たゞし食後しよくご少時間しばらく休息きうそく運動うんどうはじむべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
細いが床の間の上に乗せてあった。夫婦は夜中よじゅう灯火あかりけておく習慣がついているので、寝る時はいつでもしんを細目にして洋灯ランプをここへ上げた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こふに取次出來れば越前守申さるには夜中やちうはなはだ恐入存ずれど天下の一大事に付越前ゑちぜん推參すゐさん仕つて候何卒中納言樣へ御目通おめどほりの儀願上奉るむね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僕たちが折角せっかく夜中よるじゅうかかつて摘みあつめた抒情の匂ひも高踏の花も散らされて仕舞しまひます。
夏の夜の夢 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
自分はいへへ這入つて寝床に就てからも夜中よるぢゆう遠くの方で鳴いては止み、止んでは又鳴く小犬の声をば、これも夜中絶えては続く雨滴あまだれの音の中に聞いた……
花より雨に (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「成程、さう聞けばわけのないことだ、夜中こゝのつ前に歸つて來るといふことにして、出かけてみようか」
「ここからほんの一里半足らず、敵を討っても夜中ここのつまでには帰って来られます」
謙作はの女と島田の女でじぶんを寝室にれて往くのを知りながら睡ったふりをしていた。夜の明け方になって一夜中やじゅう睡らずにいた謙作の手は、女の左の腕に往った。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それでも夜中よぢう、わたくしは怖の嬉しいをののきが体に通ふのを待つて居るのでございます、おそろしさに髪が逆立つのを
バルタザアル (新字旧仮名) / アナトール・フランス(著)
ヂュリ いゝえ、母樣かゝさま明日あすしき相應ふさはしい入用いりよう品程しなほど撰出えりだしておきました。それゆゑ、わたしにはお介意かまひなう、乳母うばはおそば夜中よぢゅう使つかくだされませ。
夫婦ふうふ夜中よぢゆう燈火あかりけて習慣しふくわんいてゐるので、ときはいつでもしん細目ほそめにして洋燈らんぷ此所こゝげた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その時の高等学校の生徒は今よりもよほど殺伐さつばつで粗野でした。私の知ったものに、夜中よる職人と喧嘩けんかをして、相手の頭へ下駄げたで傷を負わせたのがありました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その夜中よるぢうに、私は三つの長い間をおいてたゞ三つの物音——ミシ/\といふ跫音と瞬間的に繼續するいがむやうな犬のやうな騷音と太い人間の呻き聲を聞いたばかりであつた。