“ここのつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
子刻51.0%
九歳24.0%
九刻8.3%
午刻5.2%
十二時4.2%
正午2.1%
1.0%
九個1.0%
夜中1.0%
1.0%
正午刻1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「おそのか。」とやさしく種彦は机の上に肱をついたまま此方こなたを顧み、「おッつけもう子刻ここのつだろうに階下したではまだ寝ぬのかえ。」
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もっとも一人じゃなかったです。さる人に連れられて来たですが、始め家を迷って出た時は、東西もわきまえぬ、取って九歳ここのつ小児こどもばかり。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
九刻ここのつごろから恐ろしいあらしの夜となった。樹々のうなり、車軸を流す地水。天を割り地を裂かんばかりに、一瞬間に閃めいては消える青白光の曲折。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「だって御新造さんは、上野の午刻ここのつの鐘が鳴るズーッと前から、ツイ今しがたまで、私と一緒にお勝手にいたんだもの」
十二時ここのつをまわってから、それがちょっと途絶えたので、香をあげようと思って立っていったが、ふすまのそとまでゆくと、部屋のなかで人々のむせび泣く声がしていた。
日本婦道記:松の花 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
馬吉には、上野の正午ここのつが鳴って、奥で笛の音がしたら、そっとお嬢さんの部屋へ入って、あやめるように教えておいた。
畔柳さんへ行つて、旦那が行つたか、行かないか、し行つたのなら、何頃いつごろ行つて何頃帰つたか、なあに、とをここのつまではきつと行きはしませんから。その様子だけ解れば、それで可いのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は鋳鍋の柄を持って鋳込んだ弾は幾個いくつあるだろうと思って、台の上にのせた鉛の鋳込んだ型に眼をやった。鋳込んだ型は九個ここのつであった。
猫の踊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「ここからほんの一里半足らず、敵を討っても夜中ここのつまでには帰って来られます」
そのあくる日、ここのつを少し廻った頃、平次の家へ
やがて上野の正午刻ここのつの鐘が鳴ると、奥の稽古部屋から、不気味な笛の音が、明るすぎるほど明るい真昼の大気に響いて、地獄よみの音楽のように聞えて来るのです。