“ここ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ココ
語句割合
此処43.0%
茲14.2%
此家9.1%
此所4.7%
爰4.5%
是2.8%
此2.3%
此室2.2%
此處1.6%
此地1.3%
呱々1.2%
此店1.2%
此寺1.0%
此村0.3%
戸々0.3%
是処0.3%
当家0.3%
斯0.3%
此邸0.3%
此町0.3%
箇々0.3%
此宿0.2%
心0.2%
此寮0.2%
胸0.2%
茲処0.1%
此市0.1%
此山0.1%
此校0.1%
東京0.1%
此城0.1%
此席0.1%
病院0.1%
九0.1%
個個0.1%
当地0.1%
此戸0.1%
此楼0.1%
此窟0.1%
此辺0.1%
此里0.1%
此国0.1%
此府0.1%
此駅0.1%
爰処0.1%
広島0.1%
当楼0.1%
枕邊0.1%
此坂0.1%
此川0.1%
于0.1%
会場0.1%
写真館0.1%
処室0.1%
別府0.1%
劇場0.1%
千葉0.1%
古壺0.1%
台所0.1%
台湾0.1%
同湾0.1%
呱呱0.1%
和歌山0.1%
嘉義0.1%
姪浜0.1%
娼家0.1%
屯所内0.1%
工場0.1%
当教会0.1%
当病院0.1%
当科0.1%
当駅0.1%
待合0.1%
心臓0.1%
情0.1%
懐中0.1%
旗亭0.1%
是處0.1%
曩0.1%
本社0.1%
根室0.1%
梁山泊0.1%
森0.1%
機関室0.1%
此堂0.1%
此宮0.1%
此座0.1%
此庵0.1%
此日0.1%
此段0.1%
此沼0.1%
此浦塩0.1%
此淵0.1%
此港0.1%
此湖0.1%
此点0.1%
此畔0.1%
此病院0.1%
此社0.1%
此肩0.1%
此身0.1%
此間0.1%
此関0.1%
此院0.1%
此館0.1%
比所0.1%
浦塩0.1%
漬物0.1%
現場0.1%
瓠壺0.1%
矢来0.1%
粤0.1%
脳0.1%
自由軒0.1%
蔦屋0.1%
表口0.1%
製鉄所0.1%
言0.1%
試0.1%
部屋0.1%
防空壕0.1%
頭0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私はその事を聞くや否や、早速新聞雑誌を通じて平塚さんに対する感謝を書いて置きましたから、此処(ここ)にはそれを繰返さず置きます。
新婦人協会の請願運動 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
信一郎が、茲(ここ)まで話したとき、夫人の面(おもて)は、急に緊張した。そうした緊張を、現すまいとしている夫人の努力が、アリ/\と分った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
もうもう此家(ここ)にはいない、今からすぐと父のそばに行って、とそう思いましてね、姑が臥(ふ)せりましたあとで、そっと着物を着かえて
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
寺町通りには軒並みに仏師屋があってそれぞれ分業の店々がまた繁昌をしている。中古の(前同意義)仏師の本家は此所(ここ)でありました。
八つが岳山脈の南の裾に住む山梨の農夫ばかりは、冬季の秣(まぐさ)に乏しいので、遠く爰(ここ)まで馬を引いて来て、草を刈集めておりました……
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
是(ここ)に於て守る者便(べん)を得、連夜水を汲(く)みて城壁に灌(そそ)げば、天寒くして忽(たちま)ち氷結し、明日に至れば復(また)登ることを得ざるが如きことありき。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
昨日まではとかく家を外(そと)なる楽しみのみ追ひ究めんとしける放蕩の児(じ)も此(ここ)に漸く家居(かきょ)の楽(たのしみ)を知り父なき後(のち)の家を守る身となりしこそうれしけれ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
この室はちょうどかの雪峰チーセを見るに都合が好(よ)し、夜分はごく美しい月を見ることが出来ますから此室(ここ)にお休みなさいという。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
此處(ここ)は人の出入りが激(はげ)しくて、とても見張つては居られませんから、二十四日の晩からお糸は向島の寮(れう)へやつて置くつもりです。
そして此地(ここ)を以て美の理想の究極だと思い取ったのであります。なんぞ図らん、それは美の畑だけであり、田だけであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
金環蝕は陰の極で、秒後(びょうご)は陽のはじめというのだから、お前は陰が極まって、陽にうつろうとするときに、呱々(ここ)の声をあげたのだ。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
「見損(みそこ)なっちゃあいけねえぜ、おい。此店(ここ)のまんじゅうみてえに、白ぶくれに膨(ふく)れていやがって。那珂川原(なかがわら)の勘太郎(かんたろう)を知らねえのか、てめえは」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「実は、老先生の出先も心配になるので、店の者を、後から尾(つ)けさしておいたので、此寺(ここ)と分りましたから、すぐに、駕を持って参りました」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ドーラギリー山の東谿(とうけい)にあるマルバ山村に出で、[六月十二日に]此村(ここ)を立ってドーラギリー山の北の中腹のほとんど二万尺の所を踰(こ)えて西北原の方に進み
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
なにしろ戸々(ここ)で思い思いに掃き立てるのであるから、その都度(つど)に近所となりの迷惑は思いやられるが、お互いのことと諦(あきら)めて別に苦情もなかったらしい。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
是処(ここ)まで来ると水量は驚くほど増して、途中どんな大きな沢が加わったのかと不思議に思われるが、これは薬師岳の万年雪から滴る水の集りが注いだ為であろう。
黒部峡谷 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「珍しい人が珍しいところに立っていますねえ。よく当家(ここ)へ押しかけて来る顔がありましたこと」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
親(しん)を洽(あまね)くし衆を和するも、恒(つね)に斯(ここ)に於(おい)てし、禍(わざわい)を造り敗(はい)をおこすも、恒(つね)に斯(ここ)に於てす、其悪(あく)に懲り、以て善に趨(はし)り、其儀を慎(つつし)むを尚(たっと)ぶ、といえり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私は折入つて、お前に頼みたい事がある。何と聞いておくれかえ。知つての通りの私の身体、此邸(ここ)で生れた身のふしよう。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
踊りに妙を得し雪といふ美形(びけい)、唯今のお座敷にてお米のなります木はと至極あどけなき事は申とも、もとは此町(ここ)の巻帯党(まきおびづれ)にて花がるたの内職せしものなり
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
絶えてこれを知る者あらず。凡(およ)そ人生箇々(ここ)の裏面には必ず如此(かくのごと)き内情若(もし)くは秘密とも謂ふべき者ありながら、幸(さいはひ)に他の穿鑿(せんさく)を免れて、瞹眛(あいまい)の裏(うち)に葬られ畢(をは)んぬる例(ためし)尠(すくな)からず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
とにかく、此宿(ここ)には違いないので、範宴が門口に寄って尋ねると
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
されば農家は三年耕して一年の糧(かて)を贏(あま)し、政府も租税の取り心(ここ)ろよく、わが三府六十県の人民、すなわち当今猫も杓子(しゃくし)も唱(となえ)おる、わが三千五百万の兄弟(けいてい)は
禾花媒助法之説 (新字新仮名) / 津田仙(著)
「主人はちょいちょい此寮(ここ)へ来るのか」
もうちっとやらないことにゃ……胸(ここ)んところが焼けつくようで、とんとやりきれないのさ。
種々(いろいろ)な事を云ッて……なんぼ何だッて余(あんま)り人を軽蔑(けいべつ)した……云う事が有るなら、茲処(ここ)でいうがいい、慈母さんの前で云えるなら、云ッてみるがいい……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
市場にはそれぞれ張店(はりみせ)をして、青物、肉類、麦焦(むぎこが)し、乳、バタ、布類及び羊毛の布類を列べて、一切此市(ここ)で交易商売が行なわれるのであります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
こりゃ今晩此山(ここ)で凍え死ぬのか知らん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
噂(うわさ)に聞くと、此校(ここ)では西洋人を教師に傭(やと)って、絵や彫刻を修業しているのだということ、絵は油絵であり、彫刻は西洋彫刻をやっているのだという評判……そういう話を聞くと
神はあはれとおぼさずや、中川様さへ東京(ここ)に在りたまはぬを待つとせし間に。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
成吉思汗(ジンギスカン)さまが、乃蛮(ナイマン)征伐の途中、この札荅蘭(ジャダラン)城を攻めて、札荅蘭(ジャダラン)の札木合(ジャムカ)様が此城(ここ)へ籠城してから、もうこれで、一と月あまりだ。私どもも、ここへ逃げ込んだばかりに、この傍杖を食ったのだ。
此間(こないだ)、有楽座に行った時には、此座(ここ)へお宮を連れて来たら、さぞ見素(みす)ぼらしいであろう、と思ったが、此席(ここ)では何うであろうか、と、思いながら、便所に行った時、向側の階下(した)の処から
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「だって……昨日病院(ここ)へ面会に来たら、誰にも会わせることはできないと言って、帰されたんですもの」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つきて見む一(ひ)二(ふ)三(み)四(よ)五(い)六(む)七(な)八(や)九(ここ)の十(とを)手もて数へてこれの手鞠を
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
これらはおそらく一、二の実験の結果、個個(ここ)の植物を混合して、この庭の全植物と異った、不思議な性質をそなえたものに作り上げることにおいて成功したのであろう。
会場は花晨亭(かしんてい)といって、当地(ここ)で第一等の料理屋だそうだが、おれは一度も足を入れた事がない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「音がしないように此戸(ここ)を開けなさい」
犬舎 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「それやあ、浅くねえわけでしょう。何しろ、此楼(ここ)には、先生の知っている女がいるんだから」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
橋場といふ地名は往時(むかし)隅田川に架したる大なる橋ありければ呼びならはしたりとぞ。石浜といへるは西岸の此辺(ここ)をさしていへるなるべし。むかし業平の都鳥の歌を咏(よ)みしも此地(ここ)のあたりならんといふ。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あぶく銭を取ったって、人眼につき易い大場所の遊びはしめえと、そこを踏んで此里(ここ)へ出張ったのが俺の白眼(にら)みよ。それが外れりゃあ、こちとら明日から十手を返上して海老床へ梳手(すきて)に弟子入りだ。
一三二八年にポルデノーンの僧侶でオドリックという人が始めて此国(ここ)へ入ったですけれども、これは天主教の布教が目的であったですがその目的は達せられなかった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
此国(ここ)では誰もが証人になるという訳に行かない。私共で出来るなら容易(たやす)いが政府が許さない。で普通の人が行って頼んでもなかなか肯(き)いてくれないから私が頼んで上げましょう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あなたのような人に他国へ行かれてしまっては此府(ここ)にいい医者がなくなるから、ぜひとも此府(国)に止まってくれなくちゃあ困ると言う。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
仏道修業が自分の本分でありますからいつまでも医者でもって此府(ここ)に止まって居ることは出来ませんと言いますと、侍従医長は、仏道修業の最後の目的は衆生(しゅじょう)を済度するにあるのではないか
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ところが此駅(ここ)に泊り合せて居る人で税肉(ぜいにく)をラサ政府へ納めに行く者がございますので、その人らに頼んで明日は出掛けることになりました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そこから馬を返し、木船(きぶね)に乗って向う岸に渡りパーチェという駅まで着きました。これはゲンパラという坂の峻(けわ)しい山の下に在る駅であって、此駅(ここ)へ日暮方(ひぐれがた)着きました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ヤア松の梢(こずえ)が見える。あの松は自分が土手から引て来て爰処(ここ)へ植えたのだから、これも二十二、三年位になるだろう。
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
爰処(ここ)へこんな三階作りが出来て洋食を食わせるなんていうのは。ヤア品川湾がすっかり見えるネー、なるほどあれが築港(ちっこう)の工事をやっているのか。実に勇ましいヨ。どしどし遣らなくっちゃいかんヨ。
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
実は何ですて、わたしも帰京(かえり)はしても一日泊まりですぐとまた広島(ここ)に引き返すというようなわけで、そんな事も耳に入らなかッたですが。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
済まして、どこぞへ行って、一杯やりながら話すとしましょう。広島(ここ)の魚(さかな)は実にうまいですぜ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
次の間の長火鉢(ながひばち)で燗(かん)をしながら吉里へ声をかけたのは、小万と呼び当楼(ここ)のお職女郎。娼妓(おいらん)じみないでどこにか品格(ひん)もあり、吉里には二三歳(ふたつみッつ)の年増(としま)である。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
「うるさいよ。あんまりしつこいじゃアないか。くさくさしッちまうよ」と、じれッたそうに廊下を急歩(いそい)で行くのは、当楼(ここ)の二枚目を張ッている吉里(よしざと)という娼妓(おいらん)である。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
氣の付しと見ゆるに藥今すこしといふ聲その枕に聞えて、まだ魂の極樂にや遊ぶ、いづれ人間の種ならぬ女菩薩枕邊(ここ)におはしましけり
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのお孃樣と聞まするは何時(いつ)も枕邊(ここ)に御出(おいで)たるお人か、いかにも其通りと言はれて、さらば夢にも非ざりけり
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
|します。だからこれで罪はすっかりなくなったと私は信じます。これから後私が人を殺し人の物を奪い人の女房を取り人をぶん撲る罪も此坂(ここ)で確かに懺悔致して置きます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)よ、三世十方(さんせじっぽう)の諸仏(しょぶつ)菩薩(ぼさつ)よ。私がこれまで幾人かの人を殺し、あまたの物品を奪い、人の女房を盗み、人と喧嘩口論をして人をぶん撲った種々の大罪悪を此坂(ここ)で確かに懺悔しました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
これはブラマプトラ川の北岸に渡りますので、此川(ここ)には昔鉄の橋が架って居ったのである。現今は渡場の少しく下にその鉄橋の跡にその鎖繩が遺(のこ)って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
想うに昔此川(ここ)に鉄の橋が架(かか)ってあったろうと思う。といったところで立派な鉄橋ではない。ただ一筋の
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
匹配(ひつぱい)百両王姫を御す 之(この)子于(ここ)に帰(とつ)ぐ各(おのおの)宜きを得 偕老(かいろう)他年白髪を期す 同心一夕紅糸を繋ぐ 大家終に団欒の日あり 名士豈遭遇の時無からん 人は周南詩句の裡(うち)に在り 夭桃満面好手姿
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「水なんかあなた、会場(ここ)ではとても。」
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「しかし、それやったら、写真館(ここ)の親爺さんにそう言って、譲って貰えば良いのに……。案外遠慮深いんだなあ、お君ちゃんは……」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「便処にゆくことにしてこちらにまいりますから、どうぞ処室(ここ)でしばらくお待ち下さいまし」
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「珈琲ならどこがよろしおまっしゃろ。別府(ここ)じゃろくな店もおまへんが、まあ『ブラジル』やったら、ちょっとはましでっしゃろか」
雪の夜 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
されたのです。劇場(ここ)の地下食堂で轟さんと二人切りになった時です
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今千葉(ここ)に来て憶ひ出すかと
千葉海岸の詩 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
古壺(ここ)新酒という言葉は言い得たりと考えて居るのであるが、しかしこの言葉を口にする人は沢山はないようである。第一、十七字という形に思想を盛ろうとするのである。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
開けて、台所(ここ)まで届けて呉れますわ。郵便もね。でも、広告などは、その小門を一寸開けて、そこから投げ込んで行きますが
石塀幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
台湾(ここ)でもそれをやればいいじゃないか。
台湾の民芸について (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
わずかに医師の許容(ゆるし)を得たる武男は、請うて運送船に便乗し、あたかも大連湾を取って同湾(ここ)に碇泊(ていはく)せる艦隊に帰り去りぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
家慈輿中(よちゅう)ヨリコレヲ覰(うかが)ツテ欷歔(ききょ)ス。小弟懐(ふところ)ニアリ呱呱(ここ)乳ヲ索(もと)ム。余モマタ家慈ニ向ツテ頻(しきり)ニ阿爺(あや)ニ見(まみ)ユルコト何(いずれ)ノ日ニアルヤヲ問フ。シカモソノ幽囚ニアルヲ知ラザル也。至レバ則(すなわ)チ老屋一宇。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
下女は駄目という言葉こそ繰返さなかったが、危険な意味を反覆説明して、聞かせた上、是非今夜だけは和歌山(ここ)へ泊れと忠告した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
直ったらあの嘉義(ここ)へ来る途中の田の中にいた白鷺を取って上げますからね。と慰めると
梟啼く (新字新仮名) / 杉田久女(著)
国道沿いの軌道伝いに帰って参りましたところが、ちょうど姪浜(ここ)から程近い道傍(みちばた)の海岸側に在る山の裾に石切場が御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何分、雨に逢って、着物もずぶ濡れだから、一時娼家(ここ)の物を借り着するが、実は今日瀬田の唐橋で約束の者が待っているはず。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……詳しいことも聞きたし、話しもしたいが、わしは是から、越ヶ谷(こしがや)の、官軍の屯所へ呼ばれて出頭するので、ゆっくり話しておれぬ。……わしの帰るまで、屯所内(ここ)で休んでおるがよい。
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
口惜しいだろう! ——女学生が入ってくると、工場(ここ)のお嬢さん方の眼付が変るから。凄(すご)いて!
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「中村文吉氏の本名は志村浩太郎氏です。志村君は貴女が当教会(ここ)に居られる事を出発直前に耳にしておられる筈です。……左様(さよう)なら……」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
乳癌(にゅうがん)かも知れないと云ったもんだから、すぐに自動車で東京に引返して、旅支度(たびじたく)のまんま当病院(ここ)へ入院したって云うのよ
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
当科(ここ)の主任の正木先生が亡くなられますと間もなく、やはりこの附属病室に収容されております一人の若い大学生の患者が、一気呵成(かせい)に書上げて、私の手許に提出したものですが……
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何の検査でもよいっ! 日本の高官が当駅(ここ)を御通過になるので失礼のないように固めているんだ。(安重根へ進んで)貴様は何者か。
しかも、女を相手にして寝るのだから、私はもう一生待合(ここ)で斯うして暮したくなった。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
してるわ。旦那に打(ぶ)たれてるかも知れないね。この子を一目見たとき、自分のグリーシュトカのことを思い出しちまったよ。心臓(ここ)ん所の血が固まっちまうような気がしたっけ。
女房ども (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ひたすら造物者への感謝の情(ここ)ろ、崇敬の念(おも)いに、身をふるわすばかりだ。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
忠太郎 金なら未(ま)だ未(ま)だ懐中(ここ)にござんす。いざとなれば肌につけた、金百両に手を付けます。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
「じゃあ、ぼつぼつ立とうか。おいよ。旗亭(ここ)の亭主、勘定をしてくれい」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「同じ死ぬんなら是處(ここ)だネ。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
曩(ここ)に大正三年独逸は仏国との開戦を決意するや否や、白耳義(ベルギー)の永久局外中立を保障する条約の規定を無視して咄嗟の間に白耳義国内に侵入し、それより第一次世界大戦の幕は明けたのでありますが
新憲法に関する演説草稿 (新字新仮名) / 幣原喜重郎(著)
それから九大の寺山博士がツイ今しがた本社(ここ)へやって来て、早川という男は自分の処に居るには居るが、色魔云々の事実は無いようである。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
問題はその釧路丸が、事件のあった昨晩、海霧(ガス)の深い根室(ここ)の港へやって来て、それも人目を忍ぶようにしてこっそり沖合にとまっていたと云うんだから、こいつア変テコだろう。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
いま、梁山泊(ここ)は、官軍包囲の中にある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「たったひとりで森(ここ)にいるのかい?」
狂人日記 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
「……訳はない。そいつを機関室(ここ)へ連れて来い。汽鑵(かま)へブチ込んでくれるから……いくらか正気付くだろう」
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この御堂(みどう)が、真(まこと)の生きた、伽藍であるならば、此堂(ここ)をめぐって、造営に働く人たちも、いつか必ず仏縁のご庇護によって、精神(こころ)のうちに、弥陀(みだ)の慈光(ひかり)をうけねばならぬはずと存じます。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此宮(これ)はポタラより西少し南に当り、キーチュ河岸(かし)にある林の中に建てられたる大いなる宮殿である。新たに建てられたところの離宮であって夏の間はいつも此宮(ここ)にお住いなされます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
此間(こないだ)、有楽座に行った時には、此座(ここ)へお宮を連れて来たら、さぞ見素(みす)ぼらしいであろう、と思ったが、此席(ここ)では何うであろうか、と、思いながら、便所に行った時、向側の階下(した)の処から
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「どうして此庵(ここ)へは……。まあ上がれ」手を取って一室へ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いっそ穴鑿(あなほ)りで引っ使われたほうが苦しゅうないと思うくらい、その中でどうかこうか此日(ここ)まで運ばして来たに今日休んでは大事の躓(つまず)き、胸が痛いから早帰りします
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
上るにも降りるにも、此段(ここ)を通らなければならないのだ。二人は息せききって二段ずつ一跨ぎに駈け上った。二階も同じ造りである。
杖でもって測量して見ますに、どうも杖が落ちつかない。だから此沼(ここ)は到底渡るべきところでないというのでまた引き還して、半里ばかり後戻りをして道を東の方向に取って進みました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あんたはツイこの頃来たんだから知らないでしょうけども、この間、此浦塩(ここ)を引き上げて行った亜米利加(アメリカ)の軍艦ね。あの軍艦(ふね)の司令官の息子でヤングっていうのが、その男なのよ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お祖父(ぢい)さんの咄で、お祖父(ぢい)さんのお祖父さんが此淵(ここ)へ沈んだ時は三日たつても死骸が上らず、取(とり)に入(はひ)つた番頭まで出られなくなつて、しまひには如何(どう)とかして擔ぎ上(あ)げたと聞いた。
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
「うん。歯が痛んで血が出て仕様がねえから医者を起しに出たところを掴まえられて上海(シャンハイ)された。停船(ストップ)してるじゃねえか、何処だ此港(ここ)は? 大連か、浦塩(ウラジオ)か、何処だ」
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
かの有名なイギリス人のサラット・チャンドラ・ダース師(実はインド人)が昔インドから此湖(ここ)に来て——チベット人は僅か二十年前の事を昔と言う——何か咒咀(まじない)をこの湖水の中へ吹っ込んだ。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
斯う考へると、誠に此世が情なく心細くなるが、然し此点(ここ)が却つて面白い、頗る面白い。自分は『完全』といふものは、人間の数へ得る年限内には決して此世界に来らぬものと仮定して居る。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
此畔(ここ)に石を沢山積んで置けば、その水の氾濫(はんらん)を禦(ふせ)ぐ用に供することが出来ます。消極的信仰上偶然の善事とはいいながら誠に結構(けっこう)な事です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「ありがとう御座います。それじゃ済みませんが、僕を此病院(ここ)から解放して下さい。ちょっと出かけて来たいのですから……」
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その多くは在留(ざいりゅう)シナ人が参詣(さんけい)しますので此社(ここ)には鶏などが沢山飼うてあります。その横にはタブチーという大きな寺があって、このゲーサルギ・ギャルポを祭る坊さんが居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
私はどうしてもかうと決心してゐるのだからそれは折角だけれど聞かれないよと言ふに、吉は涕(なみだ)の目に見つめて、お京さん後生だから此肩(ここ)の手を放しておくんなさい。
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
失いましたことは、ご先祖へも、申しわけありませんが……ご安心下さいお母さん……玄徳の魂はまだ此身(ここ)にございます
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今旦(けさ)我が女の語るを聞けば、三年坐しませども、恆は歎かすことも無かりしに、今夜大きなる歎したまひつとまをす。けだし故ありや。また此間(ここ)に來ませる由はいかに」
その書面さえ持って来れば皆此関(ここ)を通過することが出来るようになるのですから
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
此院(ここ)は別段不足がない筈なんだが、それとも誰か気に触ることでもしたかい
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
かつて、その藤九郎盛長は、頼朝の召状を携えて、此館(ここ)を訪れたことがある。その時、父の常胤は会わなかったが、胤頼は兄の胤正(たねまさ)と同席で、彼を迎えたことがある。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当分(とうぶん)比所(ここ)でみっしり修行(しゅぎょう)を積(つ)み、早(はや)く上(うえ)の境涯(きょうがい)へ進(すす)む工夫(くふう)をせねばならぬ。
それあ浦塩(ここ)ではかなり評判になっているらしいのよ。……ええ……あんたが知らないのは無理もないわよ。あんたはまだ浦塩(ここ)に来ていなかったんですからね。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「お漬物(ここ)は。」と米は訊(たず)ねた。
火 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「すると、勿論そのタンク機関車は、本屋のホームを通過してしまってから、現場(ここ)で、一度停車したんでしょうな?」
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
瓠壺之腹縦摸筆(瓠壺(ここ)の腹に縦(ほしいまま)に筆を摸(さぐ)り)
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
淫売婦(いんばい)と思えば汚いけれどお宮は、ひどく気に入った女だったが、彼女(あれ)がいなくなっても、お前が時々、矢来(ここ)へ来て其様なことを言って、婆さんと、蔭ながらでも私の噂をしているかと思えば
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
粤(ここ)に天平十五年歳次癸未(みづのとひつじ)十月十五日を以て、菩薩(ぼさつ)の大願を発して廬舎那仏(るしゃなぶつ)の金銅像一躯(く)を造り奉(たてまつ)る。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
カタリとも言わず……あまつさえ西洋室(ま)の、ひしとあり、寂(しん)として、芬(ぷん)と、脳(ここ)へ染(く)る、強い、湿っぽい、重くるしい薬の匂(におい)が、形ある箔(はく)のように颯(さっ)と来て、時にヒイヤリと寝台を包む。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「自由軒(ここ)のラ、ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「蔦屋(ここ)へ来て何より嬉しいのは自由に書物(ほん)が読まれることだ」
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
表口(ここ)にそれらしい足跡はありませんでしたか?……その連中はあなたより先にここを出て行ったのですよ
寒の夜晴れ (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「戸塚は中野さんの世話で製鉄所(ここ)へ入ったんだ。自分でそう云ってたじゃねえか」
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
漸く僧侶の仕業で水の底へ沈んで居る事を調べ上げました「妖髠奪い去りて、夜水竜哭す」とは即ち僧侶が水底に沈めた事を指したのでしょう「言(ここ)に湖底を探って、家珍櫝に還る」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
試(ここ)ろみに綿入の背中を撫(な)で廻して貰(もら)うと、はたしてどこも湿(しめ)っていなかった。余はどうして一番上に着た護謨合羽と羽織だけが、これほど烈(はげ)しく濡れたのだろうかと考えて、私(ひそ)かに不審を抱いた。
三山居士 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其の事を謂(い)ふ毎(ごと)に、姉は面(おもて)を蔽(おお)ふ習慣(ならい)、大方其(そ)の者(もの)等(ら)の身体(からだ)から姉の顔を掠(かす)めて、暖簾(のれん)を潜(くぐ)つて、部屋(ここ)まで飛込(とびこ)んで来たのであらう、……其よ、謂(い)ひやうのない厭(いや)な臭気(におい)がするから。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「防空壕(ここ)やったら、あんた、誰に気兼遠慮もいらんし、夜空襲がはいっても、身体動(いの)かす世話はいらんし、燈火管制もいらんし、ほんま気楽で宜しあっせ」
ヘリオトロープの匂(にお)いがする。また大急ぎで頭(ここ)へ書きこむ。甘ったるい匂(にお)い、後家さんの色、こいつは夏の夕方の描写に使おう、とね。