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こヽ
語句 | 割合 |
此處 | 25.0% |
此処 | 25.0% |
此家 | 25.0% |
此地 | 12.5% |
此邸 | 12.5% |
|
よし
一時は
陸奧の
名取川、
清からぬ
名を
流しても
宜し、
憚かりの
世の
中打割りて
見れば、
天縁我れに
有つて
此處に
運びしかも
知れず、
今こそ
一寒書生の
名もなけれど
其頃岡崎から
程近い
黒谷の
寺中の
一室を借りて
自炊し、
此処から六条の
本山に
通つて
役僧の
首席を勤めて居たが、亡くなつた道珍和上とも
知合であつたし、
然う云ふ
碩学で
本山でも
幅の
利いた
和上を
今の
世の
女子教育を
賛成といひがたき
心よりお
園にも
學校がよひ
爲せたくなく、
廻り
路でもなき
歸宅がけの一
時間を
此家に
寄りては
讀書算術、
思ふやうに
教へて
見れば
記憶もよく
分りも
早く
其れから
御坊は昔願泉寺と云ふ
真言宗の
御寺の廃地であつたのを、此の岡崎は祖師
親鸞上人が越後へ
流罪と
定つた時、
少時此地に
草庵を構へ、此の岡崎から
発足せられた旧蹟だと云ふ
縁故から
鎌倉へ
行かばお
歸りの
無きに
極まりたれば、
殘りて
淋しからんより
我れも
一處にゆき、
我れも
此邸に
歸るまじ、
父樣も
嫌や
母樣も
嫌や、
誰れを
捨てヽも
諸共に
行かんと
計り、
令孃は
靜かに
諭して