“此邸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ここ36.4%
このやしき18.2%
こゝ9.1%
こちら9.1%
このうち9.1%
このてい9.1%
こヽ9.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「それがしは、戦の後、姫路城の抑えに参った徳川方の者だが、主命をおびて、播州ざかいに木戸を設け往来人をあらためていたところ、此邸ここの——」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ年の若い元気な二人は、自分達の会話が、傍に居合す此邸このやしきの主人の勝平にどんな影響を与えているかとう事は、夢にも気の付いていないように、無遠慮に自由に話し進んだ。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
此邸こゝにては煤取すゝとりさゝ座敷ざしきにこぼれて、ひやめし草履ぞうりこゝかしこの廊下らうかちりみだれ、お雜巾ぞうきんかけまするもの、おたゝみたゝくもの家内かない調度てうどになひまはるもれば、お振舞ふるまひさゝふて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
手裏剣しゅりけんを抜いて発矢はっしと投げる。投げた方角は薩州邸の馬場から此邸こちらの隔ての塀あたり。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
初春のことで、かねて此邸このうちだと思う、武家の後家ごけの住居をつきとめると、流していた一文獅子じしを引っぱってきて、賑わしく窓下で、あるっかぎりの芸当をさせ、自分は離れた向う角にいた。
彼寺かのてら此邸このてい、皆それ等古人の目に触れ、前の橋、うしろみちすべそれ等偉人の足跡をしるして居るのだと思へば予の胸はおのづからをどる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
鎌倉かまくらかばおかへりのきにまりたれば、のこりてさびしからんよりれも一處ともにゆき、れも此邸こヽかへるまじ、父樣とうさま母樣かあさまや、れをてヽも諸共もろともかんとばかり、令孃ひめしづかにさとして
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)