此邸このやしき)” の例文
まだ年の若い元気な二人は、自分達の会話が、傍に居合す此邸このやしきの主人の勝平にどんな影響を与えているかとう事は、夢にも気の付いていないように、無遠慮に自由に話し進んだ。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と話題の転換に骨を折って居るのは、主人石井馨之助けいのすけ氏の夫人濤子なみこ、若くて美しくて、客が好きで物惜みをしないというので、いやしく此邸このやしきに出入する程の人達から、素晴らしい人気のある夫人でした。
悪魔の顔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)