此町ここ)” の例文
今朝早くいつものように此町ここを通りかかった三河島の納豆売りの子供が、呼声も眠そうに朝霧の中をこの家の前までくると格子の中から異臭が鼻を衝いた。
踊りに妙を得し雪といふ美形びけい、唯今のお座敷にてお米のなります木はと至極あどけなき事は申とも、もとは此町ここ巻帯党まきおびづれにて花がるたの内職せしものなり
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
金春こんぱる屋敷の知人しりええんとこで話が持てましてね、あっしが甚右を連れて此町ここを通ったのは四つ過ぎてましたよ。
此町ここまで参りますと、あの女が背後からやにわに組みついて来ましたんで。素町人ではございまするが、気が勝っておりましたんで、なにをっとばかり私も、あの女を