東京ここ)” の例文
勝沼かつぬまの町とても東京ここにての場末ぞかし、甲府はさすがに大厦たいか高楼、躑躅つつじさきの城跡など見るところのありとは言へど、汽車の便りよき頃にならば知らず、こと更の馬車腕車くるまに一昼夜をゆられて
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
神はあはれとおぼさずや、中川様さへ東京ここに在りたまはぬを待つとせし間に。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
まあ何と思ふておいでなさるとこんな事を問ひかけるに、おつしやるまでもなく、どんなに家中うちじうが淋しく成りましよう、東京ここにお出あそばしてさへ、一ト月も下宿に出て入らつしやる頃は日曜が待どほで
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)