“躑躅”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つつじ88.2%
つゝじ8.9%
ツツジ1.8%
つゝぢ0.6%
ツヽジ0.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、武田勝頼は、父祖数代の古府——甲府の躑躅つつじさきからこの新府へ——年暮くれの二十四日というのに、引き移ってしまったのである。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五月に入つて、山の手の町に躑躅つつじが赤く燃えた頃、四ツ谷の與吉——八五郎と馬の合ふ若い岡つ引が八五郎を引つ立てるやうにしてやつて來ました。
かくて、甲府城下の躑躅つつじさきの古屋敷でした時のように、一応刀を抜きはなして、それを頬に押当てて、びんの毛を切ってみました。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
躑躅つゝじのひと盛りを過ぎると、まるで火の消えたように鎮まり返って、唯やかましく聞えるのはそこらの田に啼く蛙の声ばかりであった。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
蕨も沢山に出るし、渓流も美しく日に光るし、躑躅つゝじや山藤もそここゝに、チラチラしてゐるし、実際、好い感じのするところである。
行つて見たいところ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
いもを食べながら、猫間障子ねこましやうじの硝子越しに狭い庭を見てゐると、汚れた躑躅つゝじの植込みに、小さいせた三毛猫がじいつと何かをうかがつてゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
早く、躑躅ツツジの照る時分になつてくれぬかなあ。一年中で、この庭の一番よい時が、待ちどほしいぞ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
後年郷里に住むやうになつてから、その模型は庭の躑躅ツツジの蔭の平たい石の上に置かれてゐた。
こんな事をして居る中に、早一月も過ぎて、桜の後、暫らく寂しかつた山に、躑躅ツツジが燃え立つた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此間このあひだむかふの土手にむら躑躅つゝぢが、団団だんだんと紅はくの模様を青いなかに印してゐたのが、丸で跡形あとかたもなくなつて、のべつに草がい茂つてゐる高い傾斜のうへに、大きなまつが何十本となく並んで、何処どこ迄もつゞいてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其外、卯月に卯の花、五月に皐月サツキ躑躅ツヽジなどがある。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)