“黄楊”の読み方と例文
読み方割合
つげ100.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
墓に向って左側に、一本の黄楊つげの木が植えられているが、いまはその木かげになって半ば隠れてよく見えなくなっている、一基の小さな墓がある。
花を持てる女 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
と、日常使用されていた黄楊つげくしをおやりになった、というほどの話もある。恩賞と人心の周波ともいえるような微妙な雰囲気の程度がわかる。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同時に、それらの調子、様式は「お小夜」の黄楊つげの小櫛の古さがまだまだおもくきついなかから、重きが故に愈々その声の響きは遠く高くとあこがれる。
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そこでエミリアンは、さつそく町の方へいつて、大きな鳥籠とりかごと、それをつゝむ黒いきれと、黄楊つげの青葉をたくさん、買ひこんできました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
銀胸ぎんむね黄楊つげくしをさし、団十郎縞だんじゅうろうじまの中に丁子車ちょうじぐるまを入れた中形ちゅうがた浴衣ゆかたも涼しげに
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
黒襟の袢纏か何かで洗い髪に黄楊つげの横櫛という、国貞好みの仇っぽいお神さんを想像していた小圓太は大へん意外のような心持がした。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
詳しい原因は私に納得できぬが、幼少からの經驗からいつても、木活字は材が黄楊つげにしろ櫻にしろ、屈りやすく高低が狂ひやすい。
光をかかぐる人々 (旧字旧仮名) / 徳永直(著)
「これ、おばさんのでなくて、往来に落ちていたよ。」といって、一枚の黄楊つげの櫛を鍋被の女の手に渡すと、あとも振向かずに一目散に逃げるように駆け出した。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
また、やぶの中の黄楊つげの木のまた頬白ほおじろの巣があって、幾つそこにしまの入った卵があるとか、合歓ねむの花の咲く川端のくぼんだ穴に
洋灯 (新字新仮名) / 横光利一(著)
キヤツとさけびてたふるゝを、見向みむきもやらずとほりしは、いうにやさしきひとの、黄楊つげくしくちびるくはへしなり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)