夏の夜の夢なつのよのゆめ
月の出の間もない夜更けである。暗さが弛んで、また宵が来たやうなうら懐かしい気持ちをさせる。歳子は落付いてはゐられない愉しい不安に誘はれて内玄関から外へ出た。 「また出かけるのかね、今夜も。——もう気持をうち切つたらどうだい。」 洋館の二階の …
作品に特徴的な語句
かかわら まき 夜中よるじゅう せぐくま 神女しんにょ みた かご 三昧さんまい いたわ 取計とりはから 寄人よりうど 彷徨ほうこう 憧憬あこがれ 揶揄からか かか さわや 羽織はお おい しつ すか つゆ たけ なが 乳母うば 仕舞しま 健気けなげ わず 出遇であ 刹那せつな さじ かえ 反芻はんすう 叔母おば 取做とりな つかさど 呑気のんき つぶや あじわ 土産みやげ ほこり 夜陰やいん 寄越よこ 寵愛ちょうあい 常套じょうとう 幽愁ゆうしゅう 幽邃ゆうすい とこ ゆる 恍惚こうこつ 悪戯いたずら おそ たの 愛撫あいぶ 折角せっかく てのひら かす すく つか 敗頽はいたい 明瞭めいりょう あかつき おぼろ 柵門さくもん ふくろう こずえ 棕櫚しゅろ かえで 橋梁きょうりょう 欠伸あくび なげ ほとん 水鶏くいな 沢山たくさん 沢瀉おもだか 河骨こうほね 海原うなばら ひた なぎさ 温順おとな 渺茫びょうぼう 溌溂はつらつ 溜息ためいき あふ あさ 漂渺ひょうびょう