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鶩
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あひる
ふりがな文庫
“
鶩
(
あひる
)” の例文
次の日は
仲秋節
(
ちゅうしゅうせつ
)
。——
史家
(
しけ
)
の小作や奉公人は、昼から
莚席
(
えんせき
)
の支度に忙しかった。羊を
屠
(
ほふ
)
り
鶩
(
あひる
)
や鶏をつぶすこと、何十羽かわからない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一体
浪花節語
(
なにはぶしかた
)
りは、首を
縊
(
し
)
められた
鶩
(
あひる
)
のやうに、一生に一度出せばよい声を、ざらに絞り出すので誰でもが病的になつてしまふ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
高取は一年間の勤めを了えて、二年兵になったその日に、歩哨に立っている場所を離れて
鶩
(
あひる
)
を追っかけまわした。そして軍法会議にまわされた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
淋
(
さび
)
しい田舎で人珍しいのと、それにこの男の姿がいかにも特色があって、そして
鶩
(
あひる
)
の歩くような変てこな形をするので
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
井戸端に遊んでいた
鶩
(
あひる
)
が四羽ばかり
口嘴
(
くちばし
)
を
揃
(
そろ
)
えて、私の方へ「ぐわアぐわア」と鳴いて来ました。忌々しいものです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
その跡へ一同続いて、丁度村の子供の跡に付いて、
鶩
(
あひる
)
が行列をして行くやうに、一人一人跡先に並んで行くのですね。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
北欧セービュルクの物語に、一僕銀白蛇の肉一片を味わうや否や、よく庭上の鶏や
鵝
(
が
)
や
鶩
(
あひる
)
や
鴿
(
はと
)
や雀が、その城間もなく落つべき由話すを聴き取ったとあり。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
悦子の好きな
蝦
(
えび
)
の巻揚げ、
鳩
(
はと
)
の卵のスープ、幸子の好きな
鶩
(
あひる
)
の皮を焼いたのを
味噌
(
みそ
)
や
葱
(
ねぎ
)
と一緒に
餅
(
もち
)
の皮に包んで食べる料理、等々を盛った
錫
(
すず
)
の食器を囲みながら
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それから
復
(
また
)
鶩
(
あひる
)
の飼うてある処を通って左千夫の家に立ちよったが主人はまだ帰らぬという事であった。
車上の春光
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
石垣下には、
鶩
(
あひる
)
が、がいがいと鳴立てた、が、それはこの川に多い
鶺鴒
(
せきれい
)
が、仮装したものではない。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我々の精神はその身体と同じく生れながらにして活動的である。種々の本能をもっている。鶏の子が生れながら
籾
(
もみ
)
を拾い、
鶩
(
あひる
)
の子が生れながら水に入るのも同理である。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
家の
後
(
うしろ
)
は壁一重にすぐ鶏や
鶩
(
あひる
)
の小屋があって、朝夕は中々かしましい。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
と納所部屋から段々
庫裏
(
くり
)
から本堂の方へ来ると、本堂の
後
(
うしろ
)
に
一寸
(
ちょっと
)
した小座敷がございます、
此処
(
こゝ
)
にお梅と二人で差向い、畜生めという四つ足の
置火燵
(
おきごたつ
)
で、ちん/\鴨だか
鶩
(
あひる
)
だか
小鍋立
(
こなべだて
)
の楽しみ酒
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
やがて雷鳴電光よろしくあって、
錨索大
(
いかりづなだい
)
の雨の棒が
瀑布落
(
たきおと
)
しに
撞々
(
どうどう
)
と来る。さあ、今だ。総員
鶩
(
あひる
)
の如くきゃッ/\笑い騒いで、大急ぎで石鹸を塗る、洗う。大洋の真中で大無銭湯が開かれるのだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
市民らはちょうど
禿鷹
(
はげたか
)
について
鶩
(
あひる
)
の騒ぐがような調子であった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
傍
(
そば
)
では、羽もろくに揃わぬ、べちゃべちゃ云う
鶩
(
あひる
)
に見える
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
あかあかと
鶩
(
あひる
)
卵を置いてゆく草場のかげの夏の日の恋
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鶩
(
あひる
)
が
瞼
(
まぶた
)
でするやうに、
蝦
(
えび
)
は
自
(
みづか
)
ら
其
(
そ
)
の
鼻
(
はな
)
で
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
一週間ほどするうちに、それまで、全く枯野だった草原が、すっかり青くなって、草は
萌
(
めば
)
え、木は枝を伸し、
鵞
(
がちょう
)
や
鶩
(
あひる
)
が、そここゝを這い廻りだした。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
毒なしといえどもすこぶる厄介な代物で、しばしば崖や池を襲い鵞や
鶩
(
あひる
)
を殺す。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そこで、一行異形のものは、
鶩
(
あひる
)
の夢を踏んで、橋を渡った。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
片隅の竹囲いの中には
水溜
(
みずため
)
があって
鶩
(
あひる
)
が飼うてある。
車上の春光
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
鶏にしゃも、
鶩
(
あひる
)
に鴨
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
鶩
(
あひる
)
追ひつつその卵
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
流れだ、
鶩
(
あひる
)
だ
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
鶩
漢検1級
部首:⿃
20画