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飛礫
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つぶて
ふりがな文庫
“
飛礫
(
つぶて
)” の例文
はっと、
飛礫
(
つぶて
)
を投げられたようなもので、息をつめてから、岡部はいきなり立上って、お幾の横をすりぬけながら慌てて降りていった。
常識
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
飛礫
(
つぶて
)
にひるまぬ賊が、闇の木立を縫って飛ぶ様に逃げて行く。追われる者も追う者も森を離れ、夜更けの町を黒い風の様に走った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
気息充分籠もると見て一度に
颯
(
さっ
)
と切って放す。と、あたかも投げられた
飛礫
(
つぶて
)
か、甲乙なしに一団となり空を斜めに
翔
(
か
)
け上った。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その時、飛行機は、どこかに弾丸を受けたらしく、がくんと一度大きく
煽
(
あお
)
られたと思うとたん、機首を下にして、
飛礫
(
つぶて
)
のように落下し始めた。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
首尾
(
しゅび
)
よく、
鷲
(
わし
)
ぬすみをやった泣き虫の
蛾次郎
(
がじろう
)
、その上にあって、
細竹
(
ほそだけ
)
の
杖
(
つえ
)
を口にくわえ、右手に
飛礫
(
つぶて
)
をつかんで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
私は
飛礫
(
つぶて
)
を打つことが好きであった。非常に高い樹のてっぺんには、ことに杏などは、立派な大きなやつがあるかぎりの日光に驕り
太
(
ふと
)
って、こがね色によく輝いていた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
心配気に
額部
(
ひたい
)
を曇らせて、千浪がそっと、
戸外
(
そと
)
のやみに眼を配るとき、風は、いつの間にか烈しくなっていて——ぱら、ぱら、ぱらと屋根を打つ
飛礫
(
つぶて
)
のような雨の一つ、ふたつ。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
むろんこちらからも可なりせっせと葛岡にだけは催促のため手紙は出しますものゝこれもおきみにポストへ持って行かせるより仕方がありませんから途中でどうなりますことやら梨の
飛礫
(
つぶて
)
と申しましょうか
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
翁の打つ
飛礫
(
つぶて
)
は雨の如くなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
痛き
飛礫
(
つぶて
)
に目ふさげば
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「ナニ、武芸は
飛礫
(
つぶて
)
とな? そして年齢は四十四、五。してしてその男の右の頬に薄い太刀傷はございませんでしたか?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、闇の中から、「
手を挙げろ
(
ハンド・アップ
)
‼」春田少年なにくそッと、身を沈めるとみるや声のした方へ
飛礫
(
つぶて
)
のように
突掛
(
つっかか
)
った。
危し‼ 潜水艦の秘密
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お艶の影を認め次第
飛礫
(
つぶて
)
の雨を降らせるようにと番頭小僧へ厳命を下しておいたが、その結果は、小石の集まる真ん中でお艶をして唯一得意の「お茶漬さらさら」をやらせるに止まり
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と——思うと蛾次郎は、ふいに五、六
間
(
けん
)
ほどとびさがって、足もとから小石をひろった。
卑怯
(
ひきょう
)
!
飛礫
(
つぶて
)
をつかんだな! と見たので竹童も、おなじように大地のものを右手につかんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう云って肩肘を怒らせたのは、頭を青く剃りこぼち
袈裟
(
けさ
)
を
纏
(
まと
)
った大入道で、これぞ
飛礫
(
つぶて
)
の名人として浪人組の中にあっても相当
上
(
かみ
)
に立てられる男。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
三人はゆうべ出たっきり梨の
飛礫
(
つぶて
)
だし、けさ聞けば蓑賀はたしかに剥がれてる、てっきり謀反気を起こしてずらかったと思うから、こっちは三人の名を
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
蛾次郎がさいごの力をこめた
飛礫
(
つぶて
)
がピュッと、燕作のこめかみにあたったので、かれは、急所の一
撃
(
げき
)
に、くらくらと目をまわして、竹童のからだを横にかかえたまま、
粘土
(
ねんど
)
の
急坂
(
きゅうはん
)
を
踏
(
ふ
)
みすべって
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
汝等
(
おのれら
)
来るか!」と物凄い声がふたたび森林から聞こえたが、すぐにバラバラバラと
飛礫
(
つぶて
)
が雨のように降って来た。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
片方がいきなり椅子を掴んで投げつけた、身を沈めてそらす、「畜生‼」といいざま
飛礫
(
つぶて
)
のように
組付
(
くみつ
)
いた。
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
切先鋭い
剣
(
つるぎ
)
の
飛礫
(
つぶて
)
! それを打ち払った木太刀の
冴
(
さ
)
え! ウーム、
迂濶
(
うかつ
)
には見遁がせぬわい! あの幻々の木太刀の冴えを会得することが出来たなら
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いや驚いたのなんの、さすが無頼の伝吉も胆を消して、
飛礫
(
つぶて
)
のように屋敷外へ逃去ってしまった。
嫁取り二代記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
四方の木々から庭を目がけ、
飛礫
(
つぶて
)
のように十、二十、百、二百と無数の猿が、飛び下り馳け下り
転
(
まろ
)
び落ちて来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
若い武士は湯沢のほうへ
飛礫
(
つぶて
)
のように走って行ったが、追手はすぐに追いついたらしい。
峠の手毬唄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
奴姿
(
やっこすがた
)
の大男が人家の軒から投げた
飛礫
(
つぶて
)
が若衆の危難を救ったのである。若衆は刀を投げ捨てると、飛燕のように飛び込んで行った。手弱女を膝下に抑えたのである。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
飛礫
(
つぶて
)
のように叩きつける雨、悲鳴をあげて吹き荒れる烈風のほかには、殆んど一尺先の物をみわけることもできないのだ。その闇の中を、巨大な、えたいの知れないものが近づいて来る。
榎物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
切ろうとした一刹那風を切って、浪之助の投げた石
飛礫
(
つぶて
)
が、陣十郎の額へ来た。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
とたんに怪鳥は、鉄柵を乗越え、
飛礫
(
つぶて
)
のように海上めがけて身を投じた。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とつぜん絶叫があがり、益山が
飛礫
(
つぶて
)
のように斬り込んだ。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“飛礫”の意味
《名詞》
飛礫(ヒレキ 熟字訓:つぶて)
(人や物に向かって)石を投げること、また、その投げた石。
(出典:Wiktionary)
飛
常用漢字
小4
部首:⾶
9画
礫
漢検1級
部首:⽯
20画
“飛”で始まる語句
飛
飛沫
飛騨
飛鳥
飛出
飛白
飛込
飛退
飛翔
飛行