面色めんしよく)” の例文
獨りごちつゝ首傾けて暫し思案のさまなりしが、忽ち眉揚まゆあがまなこするどく『さては』とばかり、面色めんしよく見る/\變りて握り詰めし拳ぶる/\と震ひぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
其処に立つてゐたボーイが、彼の面色めんしよくを見ると、おどろいて目をみはつた。それも、無理はなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
よめになんどおもひもらぬことなりことばかはすもいまはしきに疾々とく/\かへらずやおかへりなされエヽなにをうぢ/\老婆ばあさま其處そこめなさいとことばづかひも荒々あら/\しくいかりの面色めんしよくすさまじきを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もて業となす醫師ゆゑ惡き荷擔かたんはせずと奉行に向ひ立派りつぱに云ひくろめんとこそ計りしが今我面わがかほを見知たる和吉が出しにはつと計りおどろおそれて面色めんしよくつちの如くにふるひ出せば忠相たゞすけぬしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ば散したる心地こゝちせられて茫然ばうぜんたりしが面色めんしよくへ膝をすゝめコレ管伴ばんたうどの忠兵衞どのそも/\大藤の女兒むすめおみつは父母の女房にするというて婚姻こんいんいひこみしことならずこの長三郎がかれ見染みそめ和郎そなた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
盜みしと白状致したりこと其譯そのわけは其方へはなし内々博奕にかつつもり云觸いひふらしたる由其方隱す共勘太郎白状なれば最早もはやのがれずたつて隱せば汝も女ながらあやしやつゆゑ入牢の上拷問申付けるぞとおどされしかば面色めんしよく蒼然あをざめ私しは馬喰町にて人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)