さか)” の例文
あなあはれ、遠田の蛙、また聴けば、遠く隔てて、夜の闇の瀬の隔てて、いやさかりうち霞み鳴く。また寄せて近まさり鳴く。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
私たちは山にさかろうとするこころと、山にかれるこころともつれるさまをこれ等の蜘蛛手の線路の上へ形さながらに現して彷徨いたしました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
北山きたやまにつらなるくも青雲あをぐも星離ほしさかりゆきつきさかりて 〔巻二・一六一〕 持統天皇
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
荒芽山あらめやま畔路はんろふたまたを成す 馬を駆て帰来かえりきたる日かたぶき易し 虫喞ちゆうしよく凄涼夜月に吟ず 蝶魂冷澹れいたん秋花を抱く 飄零ひようれい暫く寓す神仙の宅 禍乱早くさか夫婿ふせいの家 さいわひに舅姑きゆうこの晩節を存するあり 欣然を守つて生涯を
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
耳につく啄木鳥の聲あはれなり啼けるをとほくさかり來りて
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
往きつ、さかりつ、はた戻りつ、とこしへに囘轉す
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あなあはれ遠田の蛙、また聴けば遠く隔てて、夜の闇の瀬の隔てて、いやさかりうち霞み鳴く。また寄せて近まさり鳴く。
耳につく啄木鳥の声あはれなり啼けるをとほくさかり来りて
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
逢瀬あふせわかれ辻風つじかぜのたち迷ふあたり、さかりたる
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
けだしくも息づく物の、水よりは空や明るき、水さかり空やさみしき。春浅き潯陽江の、この月の魚。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
逢瀬あふせわかれ辻風つじかぜのたち迷ふあたり、さかりたる
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
けだしくも息づく物の、水よりは空や明るき、水さかり空やさみしき。春浅き潯陽江の、この月の魚。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
悲みて夢うつらさかりて行くか、濁世だくせい
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
山に住み世にさかるとも、またく世を厭ふにあらず、五月蠅うるさやとせちに思へど、人来ねばたづきも知らず、妻と我、二人居れども、かくてあれども、時をりはただ寂しくて眼を見合せぬ。
悲みて夢うつらさかりて行くか、濁世だくせい
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
山に住み世にさかるとも、またく世を厭ふにあらず、五月蠅うるさやと、せちに思へど、人来ねばたづきも知らず、妻と我、二人居れども、かくてあれども、時をりはただ寂しくて、眼を見合せぬ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
エホバよりカインはさかり迷ひいで
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しげみ常しさかればまれまれものどにはあはず君とのまずも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
エホバよりカインはさかり迷ひいで
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
空ぎはにさかりて遊ぶ白き尾のかすけき馬は雲にとどけり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
産土うぶすなの神にさかりて
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
さかり來て野邊のべにおもへば
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
日の道のややさかるにか。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)