鍛練たんれん)” の例文
大いに鍛練たんれんされるつもりで、はるばるやって来て、ちっとも鍛練してもらえないとなったら、そりゃあ腹もたつだろう、無理はないよ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それでもかれ強健きやうけん鍛練たんれんされたうでさだめられた一人分にんぶん仕事しごとはたすのはやゝかたぶいてからでもあなが難事なんじではないのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けれどとうの竹童には、末おそろしくもなんにもない。こんな鍛練たんれんは、果心居士かしんこじのそばにおれば、のべつまくなしにためされている「いろは」のいの字だ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
余程鍛練たんれんして上手になった人が、まずむらのない細い糸を拵える位のもので、その細い糸といったところで紡績ぼうせき糸のようなものは夢にも見ることが出来ん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あるひまた苦痛くつうもつ自分じぶん鍛練たんれんして、れにたいしての感覺かんかくまるうしなつてしまふ、ことばへてへば、生活せいくわつめてしまふやうなことにいたらしめなければならぬのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つづら笠は、お山へかかっての三人の眼じるしにと、これも申し合わせのひとつで、はははははは——少し行ったら、着ものを畳んで、裸体はだか登山のぼります。鍛練たんれんの機会ですから。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
強権的な鍛練たんれん主義一点ばりの傾向けいこうにあるのを深くうれえていた際だったので、すぐそれを自分の新しい構想に基づく青年塾に利用したいと考えた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あるいはまた苦痛くつうもっ自分じぶん鍛練たんれんして、それにたいしての感覚かんかくをまるでうしなってしまう、ことばえてえば、生活せいかつめてしまうようなことにいたらしめなければならぬのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その鋭さに、新九郎はハッと気竦きすくみを覚えて日頃鍛練たんれんこずえ斬りの飛躍の呼吸をもって、咄嗟とっさに上に跳びかわそうとしたが、ほとんど、その隙もなく左典の返した上段刀が颯然さつぜん来た。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真十五枚甲伏かぶとぶせの法を作り出して新刀の鍛練たんれんに一家をなした大村加卜かぼく
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
沈黙ちんもくの労働」とか、およそそういった、いわゆる「鍛練たんれん」的な行事が全く見当たらないのは、むしろみんなには、ふしぎに思われたくらいであった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)