通力つうりき)” の例文
とても私の智慧ちえでは及ばない神変不可思議の通力つうりきを備え、又いつの間に何をしているか、ちっとも安心はならないように思われて来るのです。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それをおそわるのは、通力つうりきをもったある女のひとが、ふしぎなきどくをもつおだまきの糸をくれたおかげでした。
通力つうりきを得た猫は、ずいぶん大恩うけた主人のあだを討ったという話もきいているが、おまえにそんな気持の万分の一でもあれば、どこで小金吾が殺されたか
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「来たか、昨夜ゆうべお前が魔者ののろいをり払ったから、もう通力つうりきうしのうた、これを持って往って、見つけたなら、ふたを開けろ、それまでは蓋を開けてはならんぞ」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
生一本きいっぽんの酒を飲むことの自由自在、孫悟空そんごくうが雲に乗り霧を起こすがごとき、通力つうりきを持っていたもう「富豪」「成功の人」「カーネーギー」「なんとかフェラー」
号外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「いや、女になど触れたら、十数年、諸国の深岳しんがくで苦行した通力つうりきを一夜にして失ってしまう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしどものこのおさけは、「かみ方便ほうべんおに毒酒どくざけ」という不思議ふしぎなおさけで、人間にんげんめばからだかるくなってちからがましますが、おにめばからだがしびれて、通力つうりきがなくなってしまって、られても
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おれ通力つうりきによって八十万里を飛行ひぎょうするのに、なんじの掌の外に飛出せまいとは何事だ!」言いも終わらず觔斗雲きんとうんに打乗ってたちまち二、三十万里も来たかと思われるころ、赤く大いなる五本の柱を見た。
絶壁の磽确こうかくたる如く、壁に雨漏の線が入つたところに、すらりとかゝつた、目覚めざめるばかり色好いろよきぬかか住居すまいに似合ない余りの思ひがけなさに、おうな通力つうりき枯野かれのたちま深山みやまに変じて、こゝに蓑の滝、壁のいわお
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
昇天の竜の跡ある洞に居ぬ通力つうりきのなきこの羅漢達
万民みな、彼の通力つうりきを賞めたたえ、その名声はいちどに鳴りわたった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みな、自得じとく研鑽けんさんから通力つうりきした人間技にんげんわざであることが納得なっとくできた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
通力つうりきのある神伝しんでん魔独楽まごま
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)