迫害はくがい)” の例文
時々壮士坊主そうしぼうずなどが大いに喧嘩を始めて、ラサ市民を迫害はくがいするというような事が起っても、混雑の最中ですから整理のしてみようがない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
世の中から迫害はくがいされて、不満な親が種々の勝負しょうぶでウップンを晴らしている中で生れた子のことだから、こいつ反抗心はんこうしんの強いものになるかも知れぬ
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
ときどき彼をにらみつける位のことで、手を出して迫害はくがいせられるようなことはなかったので、この点は大いに助かった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
むかしから、正義せいぎのためにたたかった人々ひとびとは、そのすくないなかひとであって、おおくのひとたちから、迫害はくがいされたのだ。きみ空想くうそうをして、不安ふあんになるのも無理むりはない。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
諸君、吾人ごじんは内外多数の迫害はくがいえて、今日までビジテリアン同情派の主張を維持いじして来た。然もこれ未だ社会的に無力なる、各個人個人においてである。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
で、たゞちに木材もくざい伐更きりあらためて、第二だいにざうきざみはじめた。が、またさくたいする迫害はくがい一通ひととほりではないのであつた。ねこんで行抜ゆきぬける、ねずみかじる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
チビ公の目から熱い涙がとめどなく流れた、金のためにさいなまれたかれは、腕力のためにさいなまれる、この世のありとあらゆる迫害はくがいはただわれにのみ集まってくるのだと思った。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
菊村宮内きくむらくないは、きのうはからず阿弥陀街道あみだかいどう茶店ちゃみせで、この女房にょうぼうがわるい街道人足かいどうにんそく迫害はくがいされているのをみかけて助けたことから、ここへくるまでのみちみちに、その身の上を聞いたので
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きょうでは暴民の凌辱りょうじょくを受けようとし、宋では姦臣かんしん迫害はくがいい、ではまた兇漢きょうかん襲撃しゅうげきを受ける。諸侯の敬遠と御用ごよう学者の嫉視と政治家連の排斥はいせきとが、孔子を待ち受けていたもののすべてである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ときにはそれがために迫害はくがいしのがねばならぬことは承知せねばならない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
この意味を極端に解釈すれば、おのれの幸福なる目的を達する為には、法律規則にさえ触れなければ、たとい他人を迫害はくがいしても白昼公然強盗的行為をやっても構わぬという訳になる。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)