てら)” の例文
下男共げなんどもて、かれ手足てあしり、小聖堂こせいだうはこつたが、かれいまめいせずして、死骸むくろだいうへ横臥よこたはつてゐる。つてつき影暗かげくらかれてらした。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
北の方で、すじをなさぬくれないや紫の電光いなずまが時々ぱっぱっと天の半壁はんぺきてらしてひらめく。近づく雷雨を感じつゝ、彼等は猶頭上の雲から眼を離し得なかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼は狼狽ろうばいした。けれども洋燈を移して其所そこてらすのは、男子の見るべからざるものをいて見るような心持がして気が引けた。彼はやむをえず暗中に摸索した。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
新鮮なる萌芽はいよいよ強くいよいよ活溌に断株きりかぶより発生するを見る、余は天上にむかって登りつつあるを知る、日光は余の頭上をてらせり、地はなおその養汁を以て余を養えども
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
下男共げなんどもて、かれ手足てあしり、小聖堂こせいどうはこったが、かれいまだめいせずして、死骸むくろだいうえ横臥よこたわっている。ってつき影暗かげくらかれてらした。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其有耶無耶そのうやむやになつた腦裏なうりに、なほ朧朦氣おぼろげた、つきひかりてらされたる、くろかげのやうなへや人々ひと/″\こそ、何年なんねんことく、かゝ憂目うきめはされつゝりしかと
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その有耶無耶うやむやになった脳裡のうりに、なお朧朦気おぼろげた、つきひかりてらされたる、くろかげのようなこのへや人々ひとびとこそ、何年なんねんうことはく、かかる憂目うきめわされつつありしかと
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)