つまづ)” の例文
われ何處どこくんだ。こうれ」勘次かんじつかまうとしたがおつぎはねぢつてさつさとく。勘次かんじあわてゝ草履ざうり爪先つまさきつまづきつゝおつぎのあといた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
われはこの夕まで、日暮れてこゝに來しことなかりき。鬼氣は少年の衣を襲へり。歩をうつす間、高草の底に横はりたる大理石の柱頭につまづきて倒れ、また起き上りて帝王堡ていわうはうの方を仰ぎ見つ。
おつぎはあと退去すさつた。おつぎはほとんど無意識むいしき土手どてみなみはしつた。處々ところ/″\だれかゞ道芝みちしばしばあはせていたので、おつぎは幾度いくたびかそれへ爪先つまさきけてつまづいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わが最後の梯を登りゆくとき、一人の女の小き絹のきれにて髮をつゝみ、ひろき暗色の上衣を着たるが入口に現れて、あすの名題や變りし、つまづき給ふな、マルコオと云ひつゝ迎へぬ。我はつと室内へやぬちに進みぬ。
勘次かんじつゞいてなげうつた。曲者くせものすでちたけれどかれ不意ふい襲撃しふげきあわてゝふしくれつたかきつまづいてたふれた。かれつきあしひきずらねばあるけぬほど足首あしくび關節くわんせつ疼痛とうつうかんじたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)