走水はしりみず)” の例文
其處からおいでになつて、走水はしりみずの海をお渡りになつた時にそのわたりの神が波を立てて御船がただよつて進むことができませんでした。
御存ごぞんじのとおひめのおやしろ相模さがみ走水はしりみずもうすところにあるのですが、あそこはわたくしえんづいた三浦家みうらけ領地内りょうちないなのでございます。
のみならずペリイは測量艇隊を放って浦賀付近の港内を測量し、さらに内海に向かわしめ、軍艦がそれを掩護えんごして観音崎かんのんざきから走水はしりみずの付近にまで達した。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
或は又ハシは南洋系の言葉では道を意味している、例せば三浦半島の走水はしりみずはハシ水で、水の道即ち渡場の意であるから、石椅は天そそる岩の道の意に解せぬこともない。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
築いても築いても堤防が崩れたり、橋が流れたりする場合においてもまた同様である。ここにおいてか橘媛は走水はしりみずの海に身を投じた。強頸こわくび衫子ころもこは、茨田まんだ断間たえまに身を投じた。
人身御供と人柱 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
清水寺の籠堂でお籠りをすることを聞きつけると、走水はしりみず黒鉄くろがねという鉢叩きに烏面からすめんをかぶせ、天狗の現形げんぎょうで籠堂の闇に忍ばせて通じさせたうえ、基房の伽羅の珠数を落してこさせた。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
富田岬をかわして、安房あわの勝山、走水はしりみず
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
たしか走水はしりみずというところ浦賀うらが入江いりえからさまでとおくもない、うみやまとのったせま漁村ぎょそんで、そしてひめのおやしろは、そのむら小高こだかがけ半腹はんぷくって
いずまた機会おりがありましたらあらためておもらしすることとして、ただあの走水はしりみずうみ御入水ごにゅうすいあそばされたおはなしだけは、うあってもはぶわけにはまいりますまい。