質入しちいれ)” の例文
清潔好きれいずきかれには派手はで手拭てぬぐひ模樣もやう當時たうじほこりひとつであつた。かれはもう自分じぶんこゝろいぢめてやるやうな心持こゝろもち目欲めぼしいもの漸次だん/\質入しちいれした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あたゝかかす事ならずかねて金二分に質入しちいれせし抱卷かいまき蒲團ふとんあれども其日を送る事さへ心にまかせねばしちを出す金は猶更なほさらなく其上吉之助一人口がふゑ難儀なんぎの事故夫婦はひざ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ついにはお客をすることも出来ません、たまにお客があれば機繰からくり身上しんしょうゆえ、客から預かる荷物を質入しちいれにしたり、借財方に持ってかれますような事でございますから、客がぱったり来ません。
ひそか田地でんぢわかち質入しちいれなしその金にてかりに家を作り、親もかへりてすみけり。
年も三十を越しているから、今更自分を振り捨てて行く気遣きづかいはまずない。それは衣類を質入しちいれしながら半年あまり離れずにいるのを見てもたしかである。重吉の胸の中には早くからある計画がなされていた。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
きゝ家内中の衣類いるゐ質入しちいれし又は諸處ヘ無心もなし其上に博奕ばくち堂敷だうしきを取らば十兩は出來申さん夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勤番者でほかから金子を送る者もないから、大事の大小を質入しちいれして二十五金をこしらえ、正直に奉書の紙へ包み、長い水引をかけ、折熨斗おりのしを附けて金二十両小増殿水司又市と書いて持って参りまして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひそか田地でんぢわかち質入しちいれなしその金にてかりに家を作り、親もかへりてすみけり。
引受ひきうけられよと折入てたのみしにより九郎兵衞は漸々やう/\承知しようちして入夫となり六石三斗の田地でんち質入しちいれなし金十兩借請かりうけ條七にわたしければ條七は是非なく金毘羅參こんぴらまいりと云箱をくびかけ數年住馴すみなれ故郷こきやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)