えれ)” の例文
えれえ、えれえ。それでもぬるけりや羽目はめをたゝけ、」とひながら、濡手拭ぬれてぬぐひを、ひとりでに、おもはず向顱卷むかうはちまきで、せつないかほしてなみだをほろ/\とこぼした。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
陰でばかり威張ゐばつても、自分等よりちつとでもえれえ人間の前さ出るともう口も利けねえ。急に眞面目な話も思ひ出せめえ。遠慮なくさつきの話の續きをやつたがいいや。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
見物「気がなげえじゃアねえか、喧嘩の中で煙草を呑んで沈着おちついて居るえれえじゃアねえか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ああなすつたのだとよ、えれいな、眼があるのだ、有難い話ぢやねえか。
佃のわたし (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
「アハハハハちげえねえ。えれえもんだなヤングって奴は……」
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
えい、それまたかはつたもんだね。ふね一所いつしよけたものは、きたひとうて、わし安堵あんどをしたでがすが、木彫きぼりだ、とけばなほ魂消たまげる……えれ見事みごとな、宛然まるで生身しやうじんのやうだつけの。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
村の者が江戸の大尽でえじんだか知んねえけんど、えれえもんだ、田舎には沢山たんとねえ法事だっけッて、村のわけえもんや子供をばって餅いえたり、銭い撒えたりして、坊さまを夥多えら呼んで、てえした法事だって