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豕
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いのこ
ふりがな文庫
“
豕
(
いのこ
)” の例文
御主人は時々振り返りながら、この家にいるのは
琉球人
(
りゅうきゅうじん
)
だとか、あの
檻
(
おり
)
には
豕
(
いのこ
)
が飼ってあるとか、いろいろ教えて下さいました。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お勢は今
甚
(
はなは
)
だしく迷っている、
豕
(
いのこ
)
を
抱
(
いだ
)
いて臭きを知らずとかで、
境界
(
きょうがい
)
の臭みに居ても、おそらくは、その臭味がわかるまい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
けれど旧約聖書のある部分やまたキリスト伝のほうでも、キリストが数千の
豕
(
いのこ
)
の群れを鬼に命じて殺すところなどは私は神の栄とは思われません。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
これ羊は死を聞いて懼れざるものなれば牛に易えよといいしなり。もししからずば
豕
(
いのこ
)
もて牛に易ゆとも妨げなけん、さはれ孟子は牛と羊の性を説かず。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
尤も今では春秋の気候の好い時節には、松本市の中学校や女学校で生徒の遠足地としてよく登山するそうであるから、或は遼東の
豕
(
いのこ
)
たる
譏
(
そしり
)
を免かれないかも知れぬ。
美ヶ原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
▼ もっと見る
その他肥えたる
豕
(
いのこ
)
あり、
喪家
(
そうか
)
の犬の
痩
(
や
)
せたるあり。毛虫、芋虫、
蛆
(
うじ
)
、
百足
(
むかで
)
、続々として長蛇のごとし。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
果たして
酉
(
とり
)
の刻(午後五時—七時)を過ぎる頃に、荒園の草をふみわけて
豕
(
いのこ
)
の群れがはいってきたので、一々に嚢をかぶせて捕えると、その数はあたかも七頭であった。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「つか」といふ字は冢塚にして
豕
(
いのこ
)
に点を打つなり。しかるに多少漢字を知る人にして※※の如く豕の上に一を引く人多し。されど
※
(
ぼう
)
※
(
ほう
)
皆
東韻
(
とういん
)
にして「つか」の字にはあらず。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
鼻は
豕
(
いのこ
)
のごとく、目を縦にして、さながら
土竜
(
もぐら
)
のごとく、軟毛全身に密生して、尾さき二つに裂けたる奇獣にて、顕微鏡にてこれを検すれば、毛さきに一種の異彩を放てり、
云云
(
うんぬん
)
。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
ことに奈良朝以前には或る程度まで牧畜も行われて、
豕
(
いのこ
)
を飼育して食料に供したものであった。もちろん一般人民も自ら鳥獣を捕獲して、これを屠って喰うを忌まなかったのである。
旃陀羅考:日蓮聖人はエタの子なりという事
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
豕
(
いのこ
)
同然の
彼奴
(
あいつ
)
と
睦言
(
むつごと
)
……(訳注 おなじく。ただしこのくだり、チェーホフはかなり上品に言い直されたロシア訳を踏襲している。いま訳者は、シェイクスピアの原意に近い逍遥訳を採った)
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
久しく我らを
賤
(
いや
)
しみたり、我らに
捧
(
ささ
)
ぐべきはずの定めの
牲
(
にえ
)
を忘れたり、
這
(
は
)
う代りとして立って行く
狗
(
いぬ
)
、
驕奢
(
おごり
)
の
塒巣
(
ねぐら
)
作れる
禽
(
とり
)
、尻尾なき猿、物言う蛇、露
誠実
(
まこと
)
なき狐の子、
汚穢
(
けがれ
)
を知らざる
豕
(
いのこ
)
の
女
(
め
)
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ハハそれじゃ
遼東
(
りょうとう
)
の
豕
(
いのこ
)
であったか、やっぱりこんなに大きくて。」
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
さて衆神の書記たるトットがこれを諸神に告げるのだ。また第九図のごとく
豕
(
いのこ
)
に
像
(
かたど
)
った悪人の魂を舟に載せて、もう一度苦労すべく
娑婆
(
しゃば
)
へ送還する画もある。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
遼東
(
りょうとう
)
に
白頭
(
はくとう
)
の
豕
(
いのこ
)
を珍しがりたる如く、屑屋先生は白菊を余り御覧なされぬ者と相見え候。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
黄いろい
衣
(
きもの
)
を着て、四人の従卒に舟を漕がせていましたが、その卒はみな青い服を着て、
朱
(
あか
)
い髪を散らして、
豕
(
いのこ
)
のような
牙
(
きば
)
をむき出して、はなはだ怖ろしい
形相
(
ぎょうそう
)
の者どもばかりでした。
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
目一つの神につかまった話だの、人を
豕
(
いのこ
)
にする
女神
(
めがみ
)
の話だの、声の美しい
人魚
(
にんぎょ
)
の話だの、——あなたはその男の名を知っていますか? その男は私に
遇
(
あ
)
った時から、この国の土人に変りました。
神神の微笑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
豕
(
いのこ
)
のような五、六匹の鼠がそのあとに従っていました。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
豕
漢検1級
部首:⾗
7画
“豕”を含む語句
遼豕
妖豕
封豕
封豕長蛇
牝豕
犬豕
田豕
豕々
豕児
豕甘
豕脂
豕蛇
豕韋