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覊絆
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きはん
ふりがな文庫
“
覊絆
(
きはん
)” の例文
酒を路傍の村舍に求め、一歩に一飮、一歩に一吟、われは全く人生の
覊絆
(
きはん
)
を脱却して、飄々天上の人とならんとするが如くなるを覺えき。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
このせつない
覊絆
(
きはん
)
を
脱
(
だっ
)
して、すこしでもかってなことをやるとなったらば、人間の
仲間
(
なかま
)
入りもできない
罪悪者
(
ざいあくしゃ
)
とならねばならぬ。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
人間の全的の感情を養い套習の
覊絆
(
きはん
)
から解放し、自由の何たるかを知らせんとする、真の文学の絶無といってもいゝのを
慨
(
なげ
)
かずにいられないのであります。
文化線の低下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ことにおれはなにか些細な理由で、兵役免除になっていたから、なおさらあらゆる
覊絆
(
きはん
)
を脱したわけであった。
道化者
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
道徳の府なる儒学も、平民の門を
叩
(
たゝ
)
くことは稀なりし、高等民種の
中
(
うち
)
にすら局促たる
繩墨
(
じようぼく
)
の
覊絆
(
きはん
)
を脱するに足るべき活気ある儒学に入ることを許さゞりしなり。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
この個人が禍を蒙むると云ふことが直ちに結婚の
覊絆
(
きはん
)
をゆるめなければならぬといふ理由にはならない。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
二は亜米利加におけるが如く本国の
覊絆
(
きはん
)
を脱して逃れ来れる自由民によって新たに創設せられたるもの、三は仏蘭西〔フランス〕を筆頭とする欧羅巴大陸の如く
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
尤
(
もつと
)
も一切の社会的
覊絆
(
きはん
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
して、その女と結婚する事が男らしい如く、自分の恋を打明けずにおくのも男らしいと云ふ信念から、依然として、
童貞
(
どうてい
)
を守りながら
創作
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
フラマン人は
西班牙
(
スペイン
)
政庁の
覊絆
(
きはん
)
を脱するや最近十九世紀の文明に乗じて一大飛躍を試みたる国民たり。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おのれの魂をピラミッドの
覊絆
(
きはん
)
より解放して自然の形に正すこと、それさえも忘れられてくる。
ジャン・クリストフ:01 序
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そこで忌まわしい
覊絆
(
きはん
)
を、国が奪われ人民が隷属させられることを、甘受しなければならなかった、数時代の人々の苦しみ、それは何物にも消されることができなかった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
またこの
不同不二
(
ふどうふじ
)
の
乾坤
(
けんこん
)
を
建立
(
こんりゅう
)
し得るの点において、
我利私慾
(
がりしよく
)
の
覊絆
(
きはん
)
を
掃蕩
(
そうとう
)
するの点において、——
千金
(
せんきん
)
の子よりも、
万乗
(
ばんじょう
)
の君よりも、あらゆる俗界の
寵児
(
ちょうじ
)
よりも幸福である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
参禅の三摩地を味い、諷経
念誦
(
ねんじゅ
)
の
法悦
(
ほうえつ
)
を知っていたので、和尚の
遷化
(
せんげ
)
して後も、団九郎は閑山寺を去らなかった。
五蘊
(
ごうん
)
の
覊絆
(
きはん
)
を厭悪し、すでに一念
解脱
(
げだつ
)
を
発心
(
ほっしん
)
していたのである。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
支配人の内川、職長の小山、大津、守田、会計の岩井、みな、コセ/\した内地に愛想をつかして、
覊絆
(
きはん
)
のない奔放な土地にあこがれ、朝鮮、満洲へ足を踏み出した者ばかりだ。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
この常住のもの、時間の
覊絆
(
きはん
)
を離れたるものならでは、古今の哲學者は敢て理想と名づけざりき。プラトオとハルトマンとは理想を以て時間を離れたる、意識なき思想なりとす。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
家庭的
覊絆
(
きはん
)
をもたず、最小限の生活をささえる以上の肉体労働をしなかったのは、曇りのない眼と清純な感覚とをもって自然と人生の真趣を心ゆくばかり味わわんがためであった。
森の生活――ウォールデン――:01 訳者の言葉
(新字新仮名)
/
神吉三郎
(著)
家庭的
覊絆
(
きはん
)
をもたず、最小限の生活をささえる以上の肉体労働をしなかったのは、曇りのない眼と清純な感覚とをもって自然と人生の真趣を心ゆくばかり味わわんがためであった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
昔仏
王舎城
(
おうしゃじょう
)
に
在
(
おわ
)
せし時、六群比丘、獅虎豹豺
羆
(
ひ
)
の
脂
(
あぶら
)
を脚に塗り象馬牛羊驢の厩に至る。皆その脂臭を嗅いで
覊絆
(
きはん
)
を
托拽
(
たくえい
)
驚走す、比丘輩我大威徳神力ある故と
法螺
(
ほら
)
吹き諸
居士
(
こじ
)
これを罵る。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
故に、あらゆる偏見と伝説と習俗の
覊絆
(
きはん
)
を切断し、自己心内の新生を創始することが遙かに重要である。人生のあらゆる方面にわたる権利の平等を要求することは正しく公平なことである。
婦人解放の悲劇
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
この世の
覊絆
(
きはん
)
と
濁穢
(
じょくえ
)
を脱ぎ捨てるという心持ちもいくぶんあるかと思われる。
藤棚の陰から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あらゆる社会の抑制的
覊絆
(
きはん
)
たる人類の萼が破れてしまい、そして一つ一つの花弁はいかに大きくなったにしろ、その若干はいかに強くまたは美しくさえなったにしろ、その全体は現在、弛んだ
人口論:03 第三篇 人口原理より生ずる害悪を除去する目的をもってかつて社会に提案または実施された種々の制度または方策について
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
……何んてここは幸福なんだろう! ……おお一切の
覊絆
(
きはん
)
がない!
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
厚化粧した彼女の
覊絆
(
きはん
)
の下で男が云った。
女百貨店
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
猥褻
(
わいせつ
)
なことを平気で話している。世の
覊絆
(
きはん
)
を忘れて、この一夜を自由に遊ぶという心持ちがあたりにみちわたった。垣の中からは
燈光
(
あかり
)
がさして笑い声がした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
これに反してもっとまじめで真剣なだけにいちばん罪の深い人間的な宣伝の場合と思われるのは、避くべからざる
覊絆
(
きはん
)
によって結ばれた集団の内部で、暗黙のうちに行なわれる、
朋党
(
ほうとう
)
の争いである。
神田を散歩して
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
覊
部首:⾑
25画
絆
漢検1級
部首:⽷
11画
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覊旅
覊
覊絏
覊亭
覊客
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覊絏牢