装飾そうしょく)” の例文
旧字:裝飾
そしてすぐにお城の装飾そうしょくがかりの人たちに、このまどをほかのまどと同じようにかざりつけるように、お言いつけになりました。
この牡牛のうき彫りが、単なる装飾そうしょくであるのか、それとも何か外に意味があるのか、そのとき八木君には答を出している余裕よゆうがなかった。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
舞台ぶたいはまだ昔のままになっていました。かべった側面と、背景に二つのアーチがあって、そこから以前の時代と同じ装飾そうしょくが見えました。
旗や電燈が、ひのきの枝ややどり木などと、上手に取り合せられて装飾そうしょくされ、まだ七八人の人が、せっせと明後日あさって仕度したくをして居りました。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
尊敬することによって自分が一人前にしてやった女を装飾そうしょくすることは職業に興味を持つ探偵に取って悪い道楽どうらくではなかった。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ひとつのまる御神鏡ごしんきょうがキチンとえられてるばかり、ほかには何一なにひと装飾そうしょくらしいものは見当みあたりませんでした。
階下の六じょう二間を先生の書斎と茶の間兼食堂に、二階の四畳半を次郎の部屋にあて、夫人の手で簡素かんそながらも一通りの装飾そうしょくまで終わったころになって、先生は、ある夕方
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
室内しつないあかるく、いろいろに装飾そうしょくがしてありましたけれど、ひかりは、けっしてそこへはまなかったのです。このことは、はなにとって、このうえのない不幸ふこうでありました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
当時まだ電燈は発明されておりませんでしたから、いく本かの美しい装飾そうしょくをほどこした銀色の燭台しょくだいが、テーブルの上に立て並べられ、皎々こうこうたる光のもとにいとも静粛せいしゅくに、食事がすまされました。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
髪は顔の装飾そうしょくだと承わっていますが、俺は毛頭その機会がなかったのです
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それは装飾そうしょくのように見えた。しかし、正吉のいったように、文字だと思ってみると、文字のようでもあった。アルファベットなのである。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きみにはかべや窓の色とりどりの美しさが見えますか? まるで天才が子供の言うなりになって、この珍しい寺院の装飾そうしょくをしたのではないかと思われます。
東洋風に寒さをしのぐというかんがえも勿論ですが、一方また、カーライルの云う通り、装飾そうしょくが第一なので結局その人にあった相当のものをきちんとつけているのが一等ですから
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
つまりしっかりした芸術作品を持ったり他の事業でも真摯しんし地歩ちほをかためてる女性以外には装飾そうしょく的な表皮うわべの感情は多くひらめかして居ても本質的な真面目な熱情や感情が浅薄せんぱくです。
新時代女性問答 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
四方しほう板囲いたがこいにして、わずかに正面しょうめん入口いりぐちのみをのこし、内部なかは三つぼばかりの板敷いたじき屋根やね丸味まるみのついたこけらき、どこにも装飾そうしょくらしいものはないのですが、ただすべてがいかにもかむさびて、屋根やねにも
のきにちょっとした装飾そうしょくをつけた陳列窓ちんれつまどが私の足を引きとめた。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)