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行返
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ゆきかへ
借りしも
二度三度車夫亦道に
委しからずやあらん
未だ
此職に
馴れざるにやあらん
同じ
道行返りて
困じ
果てもしたらんに
強くいひても
辭しもせず
示すが
儘の
道を
取りぬ
何ならんと
小走りして
進み
寄りつ
一枝手折りて一
輪は
主一
輪は
我れかざして
見るも
機嫌取りなり
互の
心は
得ぞしらず
畔道づたひ
行返りて
遊ぶ
共なく
暮す
日の
鳥も
寐に
歸る
夕べの
空に
行く
雲水の
僧一人たゝく
月下の
門は
何方ぞ
浦山しの
身の
上やと
見送くれば
見かへる
笠のはづれ
兩女ひとしくヲヽと
呌びぬ