蘇東坡そとうば)” の例文
蘇東坡そとうばの詩に「竹外桃花三両枝。春江水暖ナルハ鴨先蔞嵩ろうこうチテ蘆芽短まさ河豚スルノラント時」
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
たしか蘇東坡そとうばの文章の中にあつたと思ふが、雷もいつ落ちるか知れないから権威があるので、あれが悪人だけを打つものときまつてゐたら
自然 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
門外橘花猶的皪、牆頭茘子已※斑、というのは蘇東坡そとうば(彼は南方へ流された)だが、ちょうどそっくりそのままの情景である。
それ勝敗は兵家の常なり。蘇東坡そとうば所謂いわゆるえきする者も日に勝って日にやぶるゝものなり。然るに一敗の故を以て、老将を退け、驕児きょうじを挙ぐ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
全体この角煮はそう蘇東坡そとうば工風くふうした料理だといって支那人は東坡肉と号するが、最初は今いった通り杉箸すぎばしの通るまで湯煮ゆでてそれを冷却さましておく。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「案じるには及ばん。近ごろ天下に流行はやッている四家の書体といえば、蘇東坡そとうば黄魯直こうろちょく米元章べいげんしょう蔡京さいけいの四人で、これを宋朝の四大家といっている」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
溜り水を瀦というも豕が汚水を好むからだろう。蘇東坡そとうば仏印と飲んで一令を行うを要す。一庭に四物あり、あるいはきよくあるいはきたなく韻をたがうを得ず。
壁には四幅しふく金花箋きんかせんを貼って、その上に詩が題してある。詩体はどうも蘇東坡そとうば四時しじならったものらしい。書は確かに趙松雪ちょうしょうせつを学んだと思う筆法である。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼は宋代に書家として蘇東坡そとうば、米元章と並んで三大家といわれていたが、他の二人とはまるでその性質がちがう。東坡の書も米元章の書も実にうまい。まずいなどという分子はまるでない。
黄山谷について (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
蘇東坡そとうばは茶の清浄無垢むくな力について、真に有徳の君子のごとくけがすことができないと書いている。仏教徒の間では、道教の教義を多く交じえた南方の禅宗が苦心丹精たんせいの茶の儀式を組み立てた。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
蘇東坡そとうばいわク、物薄クシテ情厚シト。コレ会ノ準トナス所以ナリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
武田信玄が曾我五郎の生れ代りなどとは余り作意が奇抜でむし滑稽こっけいだが、宋の蘇東坡そとうばは戒禅師の生れ代り、明の王陽明は入定僧にゅうじょうそうの生れ代り
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかし、やがて彼女が歌い出したのは、やはりこの国の詩人蘇東坡そとうばの一詩を俗歌とした一トふしで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近づいてみれば、酒旗には「潯陽江正庫じんようこうほんてん」とみえ、また墻門かきのきには、蘇東坡そとうばの書の板額いたがく
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唐から宋へかけて処処方方に詩歌だの事跡だのを遺して居り、宋の人の間には其信仰が普遍で、既に蘇東坡そとうばの文にさえ用いられているし、今でも法をしゅして喚べば出て来ると思われている。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
また、蘇東坡そとうばが種〻の食物をまじて、これを骨董羮こっとうかんといった。その骨董は零雑れいざつの義で、あたかもわが邦俗ほうぞくのゴッタ煮ゴッタ汁などというゴッタの意味に当る。それも字面じめんには別に義があるのではない。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
蘇東坡そとうばは犬へくれました」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)