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藁苞
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わらづと
ふりがな文庫
“
藁苞
(
わらづと
)” の例文
普通に行われているのは餅を一種の
藁苞
(
わらづと
)
に入れて、屋敷まわりの一定の樹の枝に引掛けて置き、それから大きな声で烏を喚ぶのである。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
二人は
窃
(
そ
)
っと
藁苞
(
わらづと
)
の中から脇差を出して腰に差し、
慄
(
ふる
)
える足元を
踏〆
(
ふみし
)
めて此の
家
(
や
)
の表に立ちましたのは、丁度日の暮掛りまする時。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
丑之助は、晴々といって、
藁苞
(
わらづと
)
の腹を破った。その中から一羽の鶯が
跳
(
は
)
ね出した。そして
征矢
(
そや
)
みたいに、城の外へ飛んで行った。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藁苞
(
わらづと
)
より
徐
(
そろ/\
)
と出し
腰
(
こし
)
に
確
(
しつ
)
かと
結
(
ゆひ
)
つけ之まで
風
(
かぜ
)
を引たりと僞り一ト夜も湯には入らざるのみか夜もろく/\に
目眠
(
まどろ
)
まず心を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あるいは
藁苞
(
わらづと
)
のような恰好をした白鳥が湿り気のない水に浮んでいたり、
睡蓮
(
すいれん
)
の茎ともあろうものが
蓮
(
はす
)
のように無遠慮に長く水上に
聳
(
そび
)
えている事もある。
津田青楓君の画と南画の芸術的価値
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
「一銭のだい!」と吉公は
叱
(
しか
)
るように言いました。お婆さんがおずおずと一銭の
藁苞
(
わらづと
)
を出しかけると、吉公は
納豆合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
今でも芝居なぞで玉子の
藁苞
(
わらづと
)
を見ると、それを
提
(
さ
)
げて
田圃道
(
たんぼみち
)
を○○町へ辿る小学生を思い浮べる。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
足が
重
(
かさな
)
るまでも一所に踏掛けて、人形の首を、
藁苞
(
わらづと
)
にさして、
打交
(
ぶっちが
)
えた形に、両方から
覗
(
のぞ
)
いて、
咽喉
(
のど
)
に
嵌
(
は
)
めて、同時に踏はずして、ぶらんこに釣下ろうという
謀反
(
むほん
)
でしてなあ。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
生れつき頭の悪い記者は、念のため今一度買った八百屋に行ってきいて見たら、「今までの
藁苞
(
わらづと
)
に這入っているのでは、そのままお膳に乗っけられませぬ。つまり文化的でないというので」
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
信州では辻の
道祖神
(
どうそじん
)
の祭をこの日行う例も多い。
藁苞
(
わらづと
)
の馬に藁苞の餅を背負わせて、道祖神の前まで
牽
(
ひ
)
いて行って置いて来る。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
こんがらもこの有様を見ると、馬の背につけておいた
藁苞
(
わらづと
)
の道中差を押ッ取り、いきなり駈け寄って鐘巻自斎の横合から
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
岩手県では一般にこれをシットギと謂い、風の神送りの日に作って
藁苞
(
わらづと
)
に入れて
供
(
そな
)
え、または山の神祭の際に、田の
畔
(
くろ
)
に立てる
駒形
(
こまがた
)
の札に塗りつけた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
取りだしたのは
藁苞
(
わらづと
)
である、グイとしごいて、苞からむきだされたのは、
蝋色鞘
(
ろいろざや
)
の
滑
(
なめ
)
らかな大小。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すなわち
粢
(
しとぎ
)
を
藁苞
(
わらづと
)
に包んで、高い木の
梢
(
こずえ
)
に引掛けておき、烏が来て持って行くことを念ずるのである。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
青貝柄
(
あおがいえ
)
だの、
樫
(
かし
)
だの、
朱柄
(
あかえ
)
だのの槍が十本程、一束にして
藁苞
(
わらづと
)
に巻いて荷の中に立てかけてあった。八十右衛門は酔い頃に染まった顔を撫でながら、側へ行って、縄の束ねを切り
解
(
ほど
)
いた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
両手を泥田へ入れたらしく、真っ黒にして何か
藁苞
(
わらづと
)
に
容
(
い
)
れて持っている。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、丑之助は、手に提げていた
藁苞
(
わらづと
)
を上げて見せた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泥の
藁苞
(
わらづと
)
を下げて、
御膳所
(
ごぜんしょ
)
の口を
覗
(
のぞ
)
いた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“藁苞”の解説
藁苞(わらづと)は、藁を束ねて作られる包装。江戸時代に主に作られていた。また、その苞で包んだ土産物・贈り物のことでもある。
(出典:Wikipedia)
藁
漢検準1級
部首:⾋
17画
苞
漢検1級
部首:⾋
8画
“藁”で始まる語句
藁
藁草履
藁葺
藁屋
藁屑
藁屋根
藁沓
藁束
藁人形
藁火