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苧殻
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おがら
ふりがな文庫
“
苧殻
(
おがら
)” の例文
軽
(
かろ
)
やかに肩に懸け、「ほい、水気が
無
(
ね
)
えから素敵に軽い。」「まるで
苧殻
(
おがら
)
だ、」「お精霊様の、おむかえおむかえ。」とつッぱしる。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
傘は
苧殻
(
おがら
)
のように背後へ飛んだ。あとから勘次が来ると閃くように気がついた藤吉、足踏み締めて振り返りざま精一杯に喚いた。
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
やがて
盂蘭盆
(
うらぼん
)
がきた。町の大通りには
草市
(
くさいち
)
が立って、
苧殻
(
おがら
)
や
藺蓆
(
いむしろ
)
やみそ萩や草花が並べられて、在郷から出て来た百姓の娘たちがぞろぞろ通った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
それを防ぐには、伐り倒すばかりであります、と言って、それほどの大木を
苧殻
(
おがら
)
を切るようなわけにはゆきません。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いかなる茸にても
水桶
(
みずおけ
)
の中に入れて
苧殻
(
おがら
)
をもってよくかき
廻
(
まわ
)
してのち食えば決して
中
(
あた
)
ることなしとて、一同この言に従い家内ことごとくこれを食いたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
家へもどって夕闇の門口でしょんぼりと
苧殻
(
おがら
)
を焚いていると、ついその前を町駕籠がとおったが通りすがりになにかチリンと落して行ったような音がした。
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今年の秋は久し振で、亡き母の
精霊
(
しょうりょう
)
を、東京の
苧殻
(
おがら
)
で迎える事と、長袖の右左に開くなかから、白い手を尋常に重ねている。物の憐れは小さき人の肩にあつまる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ガラッ八の心臓を
射貫
(
いぬ
)
いたでしょうが、飛んで来たのは、白くて太いが、実は三尺ばかりの
苧殻
(
おがら
)
、ガラッ八をうんと脅かして、敷居の上へ、ポトリと落ちたのです。
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
竹籬
(
たけがき
)
のあいだや軒下に寂しい火の光りがちらちらひらめいて、黒い人影や白い浴衣が薄暗いなかに動いていた。お時も
焙烙
(
ほうろく
)
に
苧殻
(
おがら
)
を入れて庭の入り口に持ち出した。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
女は
苧殻
(
おがら
)
のように軽かった。私はその女を墓地の垣根の下へ伴れて往って、煉瓦に腰をかけさせた。
変災序記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
田園の風致いよいよ
濃
(
こま
)
やかな頃、今戸焼の土鉢に蒔きつけた殻の青々と芽生えて、
宛
(
さなが
)
ら早苗などの延びたらんようなるに、
苧殻
(
おがら
)
でこしらえた橋、案山子人形、魚釣りなんどを按排し
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
彼からみるとその程度の幸福を望んでいる雲水たちは
苧殻
(
おがら
)
の屑のように思えた。人間ではなかった。それに引較べて自分の中に
籠
(
こも
)
っている慾望は烈々として火の玉のように燃えていた。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
戦国時代の文献を読むと、攻城野戦英雄雲のごとく、十八貫の鉄の棒を
苧殻
(
おがら
)
のごとく振り回す勇士や、敵将の首を引き抜く豪傑はたくさんいるが、人間らしい人間を常に miss していた。
三浦右衛門の最後
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
苧殻
(
おがら
)
のかわりに麦からで手軽に
迎火
(
むかえび
)
を
焚
(
た
)
いて、それでも盆だけに墓地も
家内
(
やうち
)
も可なり
賑合
(
にぎわ
)
い、緋の
袈裟
(
けさ
)
をかけた坊さんや、仕着せの浴衣単衣で
藪入
(
やぶいり
)
に行く奉公男女の影や、
断続
(
だんぞく
)
して来る物貰いや
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
馬も牛も実際の動物でなく、
生霊棚
(
しょうりょうだな
)
に供えられた瓜の馬、
茄子
(
なす
)
の牛であることは、註するに及ばぬであろう。
苧殻
(
おがら
)
の足で突立ったその馬も牛も、いささか
萎
(
しな
)
びて見える。
盂蘭盆
(
うらぼん
)
はもう済んだのである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
旧の盆過ぎで、
苧殻
(
おがら
)
がまだ沢山あるのを、へし折って、まあ、戸を開放しのまま、敷居際、燃しつけて焼くんだもの、呆れました。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今まではいずこの
果
(
はて
)
で、どんな職業をしようとも、
己
(
おの
)
れさえ真直であれば曲がったものは
苧殻
(
おがら
)
のように向うで折れべきものと心得ていた。盛名はわが望むところではない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
苧殻
(
おがら
)
の箸じゃあねえ。その積りでしっかり持て。
勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
苧殻
(
おがら
)
の
燃
(
もえ
)
さし、藁の人形を揃えて、くべて、逆縁ながらと、土瓶をしたんで、ざあ、ちゅうと皆消えると、夜あらしが、
颯
(
さっ
)
と吹いて、月が
真暗
(
まっくら
)
になって、しんとする。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
苧殻
(
おがら
)
か、青竹の
杖
(
つえ
)
でもつくか、と聞くと、それは、ついてもつかいでも、のう、もう一度、明神様の森へ走って、旦那が
傍
(
そば
)
に居ようと、居まいと、その若い
婦女
(
おんな
)
の
死骸
(
しがい
)
を、蓑の下へ
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
苧
漢検準1級
部首:⾋
8画
殻
常用漢字
中学
部首:⽎
11画
“苧”で始まる語句
苧
苧環
苧糸
苧幹
苧麻
苧纑
苧績
苧纑商人
苧垂
苧桛